映画を1分ごとに区切って観てみた。

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マイリトルポニーを1分ごとに区切って観てみた。中編

ネタバレしかしていません。

未見の方は、アメリカの大きなお友達を夢中にさせた深淵なる女児向けアニメ「マイリトルポニー」を是非ご覧下さい。


マイリトルポニーを1分ずつ区切って観てみた。前編 - 映画を1分ごとに区切って観てみた。

 

物語の工夫

物語の構造、キャラクター、内容の工夫を見てみます。

テーマは何か?

マイリトルポニーは1話以降、主人公のトワイライトが友達についてのレポートを書くという目的のためにポニービルで暮らすことになります。
そこから様々な問題が各話で語られる訳ですが、この軸がしっかりしているので中々ブレません、更にこのマイリトルポニーの「友情」の捉え方は他の作品と比べて非常に特徴的であると思います。それは「個性」に重きを置いている点です。
マイリトルポニーに登場するメインキャラクター、トワイライト、アップルジャック、レインボーダッシュ、ラリティ、フラッターシャイ、ピンキーパイの6人(匹?)はとても強い個性を与えられていますが、何か絡むと必ず問題が起きてしまいます。

第1話を例にすれば、主人公のトワイライトはそれぞれのメンバーに初めて出会った時、アップルジャックには家族の食事に強制的に参加させられるし、ガサツなレインボーダッシュにはたてがみをボロボロにされてしまうし、ラリティには着せ替え人形にされてしまうし、フラッターシャイはドラゴンに夢中でコミュニケーションが取れないし、ピンキーパイの開いたパーティーのせいで夜寝られません。

1話ではそんな仲間のことを「クレイジー!」と言ってしまうトワイライト

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しかし、第2話になると今度はクレイジーな仲間の個性に数々のピンチを救われます。

物語では内的葛藤も話の推進力にして面白い話を作る訳ですが、マイリトルポニーではこの個性は長所と短所表裏一体の物と捉え、個性から発生した問題でも結論として個性を否定したりと言った解決方法を一切取りません。
お互いが個性を尊重しあい、また譲り合う事でバランスを取って行くことがこの物語の成長として提示されています。

面白いのが個性が否定されるとこの物語ではどういう事が起きるかも明示されています。

勤勉で真面目なトワイライト、女王セレスティアからの宿題がどうしても書けない!

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パーティーが大好きなピンキーパイ、でもみんなが自分の誕生パーティーに来てくれない!

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この様に彼女たちは個性が脅かされると狂います。いかに個性が大事かが明示されています。

敵は何か?

マイリトルポニーには時折彼女たちの平和を掻き乱す敵が現れます。
1話と2話に登場したナイトメアムーンやポニー達を擬人化した(擬人化した馬の擬人化!)物語のエクエストリアガールズではセレスティアの元弟子のサンセット・シマーが敵になりました。

服装も性格も境遇もトワイライトと対になっている敵、サンセット・シマー

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敵になった彼女たちが脅かす物はいつも友情や人間関係です。
そこも彼女たちはそれぞれの個性によって人間関係や友情を深めます。敵が決まって友情を脅かし、決まって友情をや個性を使って切り抜ける。かなり分かりやすく敵を使っています。

日本ではこのフォーマットは何に似ているか?

マイリトルポニーのシリーズとしての物語として日本の作品として似ているのはスーパー戦隊シリーズやプリキュアシリーズがとてもよく
似ています。

人数が増えて久しいプリキュア

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各話でメンバー1人をピックアップして物語を作って行く点やチームとしての人間関係にフォーカスを当てた物語の作り方をしている点、色で個性を分けて子供でも分かりやすく個性を把握出来るようにしてある点など外観的にも内観的にも類似点は数多いです。
逆に違う点はマイリトルポニーは第1話と第2話の時点で巨大な敵となるナイトメアムーンが倒されて改心してしまう点です。
戦隊シリーズやプリキュアではこうした巨大な敵は物語の中核として残して残しておきます。
これはマイリトルポニーは物語の中核がより内的葛藤(友人関係や自身の内面の問題)を重視していて、スーパー戦隊シリーズやプリキュアは最終的な葛藤は外的葛藤(外からやってくる敵や事件)を重視しているのだと見えます。

同じ女児向けアニメなのにプリキュアは外的葛藤、つまり敵と戦う事が1年を通しての問題になっているのも日本のアニメの面白い点でもあります。

キャラクター設定について

先ほどはいかにマイリトルポニーのキャラクター達が個性豊かであるかを書きましたが、意外とメインの6人たちとその他の助演となるキャラクターや脇役や敵役は、内面はかなりシンプルです。
その最たるのがプリンセスセレスティアですが、彼女は外見も特徴的で出番も多い、役割も国の女王と重要な部分を担っているのに内面が殆どありません。
具体的には1話の時点で大切なハズの妹を1000年間も封印してしまいますし、1000年のいざこざがあったハズなのに和解を軽く申し出すなど軽薄さが目立ちます。
更に国の女王として1番強い力を知恵を持っていいるハズなのに問題解決の貢献度は低いです。
これはセレスティア自身の性格が悪いとか、能力がないなどの問題ではなく単純に内面の描きこみがないのです。
逆に内面があると物語を動かし辛くなると判断されているのでしょう。
出番も役割もあるキャラクターとしては大胆な思い切りです。

個性がなく月送りやバナナ好きなどがキャラ付けとしてファンにされてしまうセレスティア

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敵役のナイトメアムーンにしてもエレメント・オブ・ハーモニーを食らった後は浄化でもされたのか急に寂しかったと本音をいい1000年のいざこざを水に流しています。
これはキャラクターの重要度をハッキリ分けているように思えます。

いい効果もある

しかしながらこれが良い効果を呼んでいる所もあります。
例えば、モブキャラクターでファンに人気のDJpon3やオクタヴァなどです。
彼女達は特徴的な外見にもかかわらず内面が殆どゼロです。名前すらありません。

ファンに人気のモブキャラクターDJpon3とオクタヴァ

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しかしそのデザインや表情などの表現の豊かさからか、ファンの間で人気になり名前が付けられ性格が考えられ、と人気キャラクターになっています。
内面がゼロだからこそファンの想像力を想起させる非常に貴重なキャラクターになりました。

その人気もあってエクエストリアの続編ではトワイライトのピンチを救う役割を演じたDJpon3

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この様にマイリトルポニーにはよく動く表情や魅力的な外見に加えテーマや話作りの軸などしっかりとした作り込みがしているのが見て取れます。

 

後半はファンとして考えるマイリトルポニーを書いていきたいと思います。

 

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