映画を1分ごとに区切って観てみた。

映画の評論、研究を行うブログです

今だからこそ新海誠初監督作品「ほしのこえ」を振り返りたい「ウラシマ効果」とか「セカイ系」とか「エロゲからの影響」とか

ほしのこえ」構成

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ミカコのノモローグ「セカイって言葉がある」から宇宙に1人浮かぶミカコ

0~2分(約2分)

 

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ミカコとノボルの青春、ミカコ国連宇宙軍に選ばれたことを告白

2分~約430秒(約2分30秒)

 

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ミカコ火星で演習、引き裂かれた2人はメールでやりとりをする

430秒~約9分(約430秒)

 

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ミカコ、木星でタルシアンと接触、タルシアンがら逃れる為に1光年ハイパードライブ

2人の距離が更に遠くなる

9分~約13分(約4分)

 

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ミカコを待つのをやめたノボル、1年ぶりのみかこからのメール

みかこを待つことを決めるノボル

13分~約1530秒(約230秒)

 

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ミカコ、外宇宙であるシリウス惑星アガルタへ、タルシアンとの接触タルシアンからのメッセージを受け取る

1530秒~約1930秒(約4分)

 

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待ち続けたノボルの元にミカコからのメールが届く

一方タルシアンと戦うミカコ、アガルタでのタルシアンとの戦いに勝利する。

「私はここにいるよ」

1930秒~約24分(約430秒)

 

構成としてノボルとミカコの描写を交互に見せ、ここぞという見せ場(タルシアンとアガルタで遭遇、やタルシアンとの終盤の決戦など)に5分ほど使うような構成になっています。

 

 

ほしのこえはつまりどういう話なのか?

ほしのこえで流れている大まかな主軸の話は2つ

 

・物理的な時間と距離の間に引き裂かれる男女の恋愛の切なさとそれを待ち、また追いかけるノボル

・地球外生命体の干渉を受け成長する人類と思春期の少女

外宇宙の生命体が外側の世界の存在として描かれ、思春期に外の社会と触れ合って成長する。という物語構造と

SFでよくある人類の進化を促す存在を自分たちからすると外側の世界にいる他者と接触する事で人類自体が成長するという物語構造を重ねています。

だから成長した大人のミカコの姿のタルシアンが

「大人になるには痛みも必要だけど でもあなたたちならずっとずっともっと先まできっと行ける ね だからついてきて託したいのよあなたたちに」

とミカコに語りかける訳ですね。

新海誠監督は狭い日常描写から広大な風景や規模大きい話へ飛ばす事(宇宙レベルの規模の拡張、秒速5センチメートルのシャトル打ち上げなど)でお話のフックを作る事を得意としていますので「ほしのこえ」も早々にミカコが宇宙で1人という画を見せてのちに続く特徴を垣間見せています。

 

新海誠初監督作品だけあって垢抜けない感じは。正直ある。

 

正直「ほしのこえ」初の監督作品で、更に個人で制作したという経緯もあり、垢抜けない感じはあります。

 

・キャラクターを追い詰めることにひよってる、ミカコもノボルもお互いがすんなりと少なくとも8年も待ちづづけるのにためらいがないためあまり心情的に追い詰められていない

・設定をセリフで丸々説明(序盤からに中盤にかけての国連宇宙軍やタルシアンの説明台詞)

・登場人物が極端に少ない(セカイっていう言葉があるというものの、どういうセカイなのかが2人以外登場人物がいないので分からない、2人の人間関係が共依存的に狭いのかそれとも普通の10代程度には広いのかも分からない)

2人の関係性がちょっと分からない(ノボルのセリフから「中学時代結構仲良かった」と言っているのにミカコ側のメールの文面が「みかこだよ♥」とミカコ側からメールを送っているような描写が多い更にノボルがミカコにレスを返してる描写がないので双方に温度差があるように見える)

・展開が急、登場人物動機が謎(何故ミカコは他の乗組員がいるにもかかわらずノボルにのみ固執するのか?何故ノボルは一旦高校で彼女を作ったのにメール一通で8年童貞を貫こうと決心したのか?)

 

などなど作話や映像で技術的、経験的にここをこうやりたかった。でも。。。という所が所々あるのが事実だと思います。

中でもウラシマ効果問題をちょっと取り上げてみます。

 

ほしのこえウラシマ効果問題

ほしのこえ」はミカコのメールに「ねぇ私は宇宙と地上に引き裂かれる恋人みたいだね」とあるようにこの話は2人が宇宙と地上で好きあっているのに引き裂かれて切ない。というのが重要になります。

そので問題になるのがウラシマ効果どうこうがあるのか?ないのか?という問題です。

 

ウラシマ効果とは?

kotobank.jp

ミカコが移動によって光速に近づくと時間に追いついて置いてかれるノボルは先に年取っちゃうけどミカコは年取らないよという現象

 

個人的には僕はSFにうるさい人間ではないので作話的に面白かったり、おいしくなればどっちでもいいのですが、問題はどっちの解釈をするかで内容が若干変わってしまう所にあります。

 

仮にウラシマ効果をアリ(ミカコのセリフ「またノボルくんとの時間が1年ずれちゃう!」や16歳のミカコ24歳のノボルと対比的に見せている演出から)にしたとしたらミカコが何歳でも経験が合わなくても待ち続けるノボルという構図が浮かび上がり、それでも信じてメールを送り続けるミカコという物語になります。

ウラシマ効果アリだと時間が関わってくるので戻ってこないと分かっていてもいつまでも待ち続ける。待った結果、歳が離れてもう恋愛が出来なくなったとしても、どちらかが死んでしまったとしても待って追いかける事に意味がある。という物語になります。

 

仮にウラシマ効果をナシ(ミカコ自体は光速で移動しているわけではなくハイパードライブ。つまりワープしているので2人の年齢は変わらない、つまり2人とも16歳同士24歳同士。単純にコミュニケーションに時間がかかる)

にした場合、時間と距離を待ち続ける男という話の構造が消え、例えるならば沖縄と北海道の遠距離の距離がさらに長い壮大な遠距離恋愛の物語になり単純に距離の問題になります。

そうなるとコミュニケーションの時間が非常に長いと同じように心の距離も実は遠い。でも届く時間がかかっても送り続ける。という意味合いになるのでコミュニケーションが取れない切なさの拠り所が時間か距離かなのかで違うようになってきます。

 

どっちにしろ作品の根幹部分、ここの設定が変わると意味合いが変わっちゃう所が不明確でどっちを取るかによって作品に酔える部分が少し変わるのでどちらにしても単純に分かりずらくなっているのは残念です。

お話を分かりづらくして高級感を持たせようというのは正直良い手ではありません。

 

が色々言っていますが工夫していないわけではないのです(ここ重要)

 

その様子が良く分かるのが予告編です。

編集や構成、もちろん映像的にも試行錯誤の様子が見えます。

1番最初の予告はミサイルの描写やCGがまだ未完成だったり、文字と静止画で情報を伝える部分が多いので編集もゆったりしていてやや長いように感じます。

 

3番目の予告になると前半はゆっくりとプロローグを見せて後半に設定の説明やロボットの描写を見せて大分見やすく面白そうになっています。

 

ほしのこえ」は新海誠監督がほぼすべての作業を1人でやったからこそ評価されまた歴史に残った作品になったのですが、様々な修正のあとを見ると「ほしのこえ」は他からアドバイスをもらいながら修正していったのではないかと思えます、特に構成に関してはもっと本編はミカコが

狭い教室にいて「私はどこにいるんだっけ?」「あっそっか」と宇宙に広がるという映像的な引きをさっさとやってしまっているところなど予告編を見ると冒頭のミカコ語りは最初はもっと長かったがテンポが悪くなるからカットしたのでは?と思えてきます。

 

予告編は「ほしのこえ」予告編は新海誠監督の初監督作品での試行錯誤の様子が垣間見えるので新海誠監督ファンにオススメです。(オリジナル声優版の新海誠監督と篠原美香氏の演技がドンドン上手くなってゆく様子もまたイイです)

 

ド真ん中の世界系

この作品が新海誠個人で作って業界をビビらせたと別に、評価される理由はアニメや漫画などに多大な影響を与えた「セカイ系」の流れを作った。と僕は思っています。

なんといっても冒頭一発目セリフが「セカイって言葉がある…」から始まります。

 

※世界系とはウィキ参考

セカイ系 - Wikipedia

「自意識過剰な主人公が、世界や社会のイメージをもてないまま思弁的かつ直感的に『世界の果て』と繋がってしまうような想像力」

 

要は思春期に自我が肥大化した結果、自分=世界、自分=社会だと信じ切ってしまう、またそれが回ってしまう物語です。

自分1人の意見で「セカイが」とか言ってしまうことですね。

 

良く出されるセカイ系ではない物語の例としては

テレビ版「機動戦士ガンダム」があります。

機動戦士ガンダムの主人公アムロ君はガンダムに乗って攻めてくるジオン(自分以外の価値観を持つ人間)と戦いますが、

そのうちアムロくんが調子に乗ってガンダムで好き勝手やろうとするとガンダムから降ろされ他のパイロットが乗る展開があったり、ガンダムに乗りたくはないけれども乗りたい乗りたくないに関わらずジオンは攻めてくるわけですから乗らなければならずに頑張りすぎてアムロ君は白目になったりします。

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社会から与えられた重圧が辛すぎて白目になるアムロ

 

つまり主人公の意思とは関係なしに他者からの評価や意図、事情によりガンダムに乗らざるを得ない。

しかもアムロガンダムに乗ったからといって世界平和になるとか、逆に連邦軍が負けるとかではありません。

あくまで社会のシステムの歯車の1つとしてアムロ君がいる訳です。

 

 

そしてセカイ系に大きな影響を与えたとよく言われる例として「新世紀エヴァンゲリオン」という作品があります。

新世紀エヴァンゲリオンになるとエヴァ初号機は主人公シンジ君が乗せられて謎の敵使徒と戦いますがエヴァ初号機はシンジ君しか乗れないので調子こいて初号機から降ろされたりはしますが、他の人に席を取られる(ポジションを奪われる)ことはありません。

 

外側から使徒という謎の敵はやっては来ますが、シンジ君はエヴァに乗りたくないといってホントに乗らずに大変な事になる。というフェーズがあります。

しかもシンジ君が使徒に負けたらサードインパクトが起きるので人類がほぼ死んでしまいます。

乗る理由も社会的な責任より友達を守りたいとか友達が僕を裏切ったとかより個人的な内容になります。

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友達が裏切ったのが辛すぎて友達を握りつぶすシンジ君

 

自分の勝敗に人類の命運がかかっているのにエヴァに乗りたくないから乗らないというある種個人の感情が重要視されるような構造に変化しています。

その辺は本が出るくらい長くなるので詳しい事は言及しませんが、自意識のあまり社会の歯車になることが拒否されたり軽視されます。

 

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ほしのこえ」は宇宙という広大だけど登場人物2人という驚きの狭さをもつセカイは純真無垢なミカコに託されるのです。

「大人になるには痛みも必要だけど でもあなたたちならずっとずっともっと先まできっと行ける ね だからついてきて託したいのよ あなたたちに」

というのを受けなければならない。

それに対してミカコは「分かんないよ!!」とアンサーするのが山場として配置されています。

 

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外側から「託す」とか言われても分からないミカコちゃん

 

こうした自意識を巡るテーマを徐々にグレードアップを見せているのもアニメの面白い所です。

流石2016年の最近は消費されつくしたのかこういう作品は流行らなくなっている傾向がありますね。

 

まとめとしてエロゲからの価値観の輸入

今回ミニッツライナー会をやる前、僕はこの新海誠の価値観はある種、小説だったり文学的な文脈から来ているのではと感じていたのですが、参加者の方にエロゲーの制作に携わった方から元々新海誠監督は「ほしのこえ」の制作同時期または以後にエロゲーOPムービーなどでその才能が話題になっていたそうです。

 

そう考えるとこの頃のエロゲーはいわゆる「純愛モノ」が流行っていていて、文学的ないし情緒的な泣かせ、切なさ、主人公の客観性などをエロゲに取り入れていった文脈があります。

その意見を聴いているうちに、映像だけでなくお話的にも「ほしのこえ」はかなりそこからの影響が伺えるように思いました。

 

例えば理由(動機)はないけど清純的に男を愛し、また変化を拒否するヒロイン像(寂しくなっても何故かノボルだけを愛し、ノボルだけにメールを送り続けるミカコ)だったり、

物語の盛り上げだったら本当にミカコは広い宇宙で徹底的に1人ぼっちになるフェーズを負ったうえでノボルがミカコを待ち始める様な主人公の追い詰めをあえてスルーしていたり、

愛に対する動機が前提として備わっているので「なぜノボルがたったメール一通で8年も童貞を守るのか」の理由なども映画的には描き込み不足に感じる所ですが、

そもそも前提が絶対に男女がお互いを裏切ることがない純愛ノベルゲーム前提としてと考えるとシナリオとしては無くて当たり前。むしろ無いから気持ちイイんですよね。

 

文化は他文化が入ってきて混ざり合った時にスパークするとよく聞きますが、アニメや漫画の作話はこれ以後、「セカイ系」的な作話が大流行し、またそれを評価、受け入れてくれる客層が出来、その後セカイ系を引き継ぎブラッシュアップした「涼宮ハルヒの憂鬱」の大流行に繋がります。

 

ミニッツライナー会をやってみんなで語り合った結果、そんな新海誠監督がド直球セカイ系の土壌を「ほしのこえ」で作り、「君の名は。」で初の制作委員会方式で王道エンタメに挑戦して見事それを成功させたとを見ると新海誠監督すごいなというか、みんなで語り合ったからこそ感慨深い気持ちになりました。

 

その瞬間、セカイ系とか、純愛モノとか、窓際系とか、新海誠というものが何処にあるのか分かった気がした。

それから次の瞬間、たまらなく悲しくなった。

僕たちはこの先もずっと同じセカイにいることは出来ないとはっきりと分かった。

僕たちの前には未だ巨大すぎるエンターテイメントが、茫漠とした作家性が、どうしようもなく横たわっていた。

でも、僕をとらえたその不安は、やがて緩やかに溶けていき、あとには、君の名は。の視聴とその成功の嬉しさだけが残っていた。

 

という事で「ほしのこえ」と「君の名は。」超オススメです!

初代「ゴジラ」はどうして名作なのか?物語の構成からゴジラを観てみる

 

 

ゴジラの物語の構成

貨物船の謎の沈没

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0~21分(約21分)

貨物船「栄光丸」が謎の沈没をする。

その救助のに向かった「備後丸」も謎の沈没、大戸島の老人は伝説の怪物「呉爾羅」の仕業であると言う。

戸島で暴風雨が起こり巨大な生物が家屋を破壊、その調査の為、山根博士が大戸島に訪れるとそこには放射能を帯びた巨大な足跡が残されていた。

 

ゴジラ出現

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21~44分(約23分)

ゴジラ登場、国会で水爆実験によって古代の生物が目覚めた事が山根博士から語られる。

ゴジラの漁船襲撃が止まらず17隻の漁船が襲われたことによってフリゲート艦体がゴジラを攻撃するもゴジラは死なず。

ゴジラが上陸する危険性があるため、新聞記者が恵美子と共にゴジラ抹殺の手がかりになる芹沢博士の元を訪ねる。

恵美子にだけ秘密の研究結果を見せる芹沢博士、それに恵美子はショックを受けてしまう。

 

ゴジラ東京上陸

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44~69分(約25分)

ゴジラ東京へ上陸、駅や橋を破壊して去ってしまう。

ゴジラ抹殺の為、軍事配備が進み住民は疎開を余儀なくされ港区、品川区、大田区に完全退避命令が下される。

山根博士はゴジラを殺すことに難色を示すが、ゴジラ再度東京に上陸、高圧電流攻撃や歩兵隊、戦車隊攻撃を仕掛けるがゴジラは熱線を吐き進撃、防衛隊は全滅。

ゴジラの進撃は止まず東京は焼け野原になってしまう。

 

オキシジエンデストロイヤー使用の決意、ゴジラの最後

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69~96分(約27分)

ゴジラによる被害を見て恵美子は芹沢博士にゴジラを殺すため秘密の兵器を話を恋人の尾形に話す。

ゴジラに対して芹沢博士に恵美子と尾形は新兵器「オキシジエンデストロイヤー」の使用することを説得する。

「オキシジエンデストロイヤー」の使用を徹底的に拒否する芹沢博士、しかし恵美子の説得とテレビから流れる乙女たちの平和の祈りの歌を聴き、新兵器のたった一度の使用を決意する。

芹沢博士自ら、尾形と共にゴジラ抹殺の作戦に挑むも、尾形の命綱を切り尾形に「幸福に暮らせよ、さよなら、さよなら」

と言い残しオキシジエンデストロイヤーを使用、ゴジラと共に運命を共にする。

芹沢博士とゴジラの最後を見届けた山根博士は「あのゴジラが最後の一匹だとは思えない」といいゴジラに対して一同敬礼をする。

 

 

ゴジラの構成について

ゴジラの構成は時間的にはほぼ統一で25分前後でした。

シーンについてもここで何を見せるかがハッキリとしていて名作の名にふさわしい見やすい、整理のされ方です。

ゴジラの素晴らしい所はきちんとエンターテイメント映画として娯楽的にも見せ方を考えていて、脚本からも完成度の高さが伺えます。

 

冒頭からゴジラの登場まで22分、その間はゴジラによる被害の様子を映して恐怖の大元の出現を引っ張っています。

印象的なのは被害の描写を人が死んでしまう様子で表現、遺族も海上保安庁に押しかけ、何か情報はないのかと大騒ぎです。

こうしたゴジラの脅威を民間人の様子で丁寧に表現しています。

 

今年公開されたシン・ゴジラゴジラの破壊によって民間人は死にますが、その時に父や兄を呼ぶ少年や、母を呼ぶ子供などの描写もなく、ゴジラの尻尾の出現も10分から15分ほどだったと記憶しているのでテキパキとしています。

導入までの時間が短くなったのは構成の時代的な変化だと個人的には思いますが、冒頭だけ見てもシン・ゴジラは初代ゴジラをリスペクトはしつつも、初代ゴジラとは描き込みに差が大きいので別の表現に走っていることが分かります。

 

 

そもそもこの初代ゴジラはなんで名作なのか?

そもそも何故「ゴジラ」は名作映画として語られるのでしょう。

どうしても長くなってしまうのですがここは出来るだけ端的に、短く書いていこうと思います。

 

テーマが優れていた

初代ゴジラが事あるごとに取り上げられ、教科書にも取り上げられる理由は色々ありますが、ザックリ端的に言えば、終戦から9年後、復興しかかった日本で「戦争」をテーマにしたことではないでしょうか。

ゴジラの進路は東京大空襲の進路であったというのは有名な話ですが、僕らがシン・ゴジラで3・11を想起したようにみんなが共感した事、テーマの描き込みがリアルで細かかった事でしょう。

 

テーマの魅力は大まかに2つ

 

1つみんなが共感すること

パッと聞いた時、面白そうなテーマなのだろうか?

 

ただの少年が海賊に憧れ、尊敬する海賊から悪魔の能力と海賊としての心意気を学んで成長し、海賊王になるため故郷を飛び出し仲間探しの旅に出る「ワンピース」

 

孤児になり引き取られた先で虐げられている少年が、魔法と自分の出生の秘密に目覚め才能を開花させるため魔法学校に入学する「ハリーポッター

 

どちらも思春期の少年の変化に合わせて、仲間や特殊な能力に目覚め知らない世界に(社会に)飛び出す話なので少年たちは共感を持ちやすく受け入れやすい内容です。

 

いわゆるハイコンセプト映画というものですね。

 

1つニッチでも描き込みがリアルに感じられるほど細かいこと

ニッチすぎてもはやこの映画でしか見られないほど描き込みが細かい内容だろうか?

 

精神病棟をドキュメンタリーで描き、精神病の人々がどのような事を考え、日々生活しているのかを描いた映画「精神」

 

美しい飛行機を作りたいと願うが飛行機を作れば戦争の道具になってしまう、しかしそれでも主人公は戦争に使われると分かっていても自分のエゴを突き通し遂にゼロ戦を完成させる映画「風立ちぬ

 

どちらもこの映画でしか見られない物語、心情、描写の細かさです。 

こちらはいわゆるソフトストーリー映画と呼ばれますね。

 

テーマが2つバランスよくあると名作になる

ゴジラは怪獣パニック映画です。

ゴジラが暴れ、いかに恐ろしい存在であるか、自分たちの知っている町が恐ろしい存在にどんどん壊される。

これだけでかなりエンターテイメント性が高く、更に人間関係でも尾形と恵美子という恋愛結婚をしようとしている2人が登場し、いかに2人の恋愛を父の山根博士に認めて貰うかという物語が展開します。

意外にもゴジラには共感を呼びやすいと言われる恋愛要素があるんですね。

 

さらにゴジラの場合、「戦争」というニッチなテーマでも時代的に「戦争」をみんなが覚えていたので共感しただろうし、復興した東京が火の海になり、母が死んで「おかあちゃーん!!」と泣き叫ぶ子供に尋常ではないリアルさを感じたはずです。

 

初代ゴジラが他のエンターテイメント性の高いゴジラより高級感を持って語られたり、一部でありがたがられる理由はここにあるのではと個人的には思います。

 

 

 

もう一つゴジラが名作な理由として単純に作話として優れています。

ここでは大まかに人物配置だけ抜粋してみました。

 

簡単な人物配置

 

ゴジラ(戦争の象徴)

↑↓

芹沢博士(戦争によって人生が狂ってしまった人)

↑↓

尾形、恵美子(戦争に襲われる側、戦争後の人間)

↑↓

山根博士(ゴジラに共感してしまう側)

 

「戦争」というものを描くのにメインのキャラクターにそれぞれ違う立ち位置に立たせて作話しています。

ゴジラは破壊の限りを尽くすし無慈悲です。

芹沢博士は戦争を引きずって戦中の研究を個人で続け水爆以上の兵器を作ってしまいます。

尾形と恵美子はゴジラは殺すべきといい、各々の恋愛の話ばかりしています。

山根博士はゴジラが殺されそうになればしょんぼりして、水爆の被害者のゴジラに共感してこれを研究すべきと主張します。

 

それぞれが関係し合って1つの「戦争」に帰結しているから作話としてスッキリしています。

メインの人物配置だけでもかなりそれぞれいい味がでる按配です。

 

 

シン・ゴジラについて

シン・ゴジラは現在大ヒットしてもう様々な視点で、様々な立場から語られていますが、個人的には怪獣が好きだったのでシン・ゴジラは大好きな映画です。

シン・ゴジラのおかげでこうして初代ゴジラを見直して整理できたし、みんながあれやこれやと映画に対して色々な事を語っている事も好きなのでその点をもっても「シン・ゴジラ」を作った庵野秀明氏には感謝したいですね。

 

 

月一でみんなで映画を研究するミニッツライナー会をやっています。

次回の開催は9月23日金曜日19時30分会場45分開始

題材は新海誠監督作品「ほしのこえ」です。

映画やアニメのプロット、脚本、構成に興味がある、自分なりに作品を心の底から理解したい、

単純にみんなでワイワイ語りたい方、是非ご参加下さい。

参加希望の方はツイッターFacebookでご連絡ください。

 ツイッターID @benio2525

Facebook検索の場合は 名前はベニオユウキです。

おそ松さん5話「カラ松事変」と「エスパーニャンコ」を1分ごとに区切って観てみた。

先日、友人宅(通称秘密基地)でおそ松さんミニッツライナー会を開催しました。
気合を入れてカラ松のコスプレで参戦したのですが、友人たちにドン引きされました。
カラ松のコスプレでドン引きされる我が人生!セラビィ!
その中で語ったおそ松さん5話の魅力をまとめてみました。

 

ミニッツライナー

OP「はなまるぴっぴはよいこだけ」

達するエスパーニャンコ、チビ太のおでん屋でおでんを食べ酒を飲んでいる6つ子、チビ太「そろそろ帰りやがれ」

6つ子、チビ太が眠っていることをいいことに食い逃げをする、気づいたチビ太追いかけるが追いつけない。チビ太「おぼえてやがれ~コンチクショ~!!!」

チビ太、カラ松を誘拐、海に杭をさし括り付けて満潮までにツケを払わなければ命はないという、チビ太おでんバズーカでカラ松を拷問

チビ太からの脅迫電話、おそ松「いえ、違います」と無視、次に十四松が脅迫電話に応答するが、聞き間違いが酷くまともに疎通出来ない。十四松「カラ松兄さん海で浣腸されて死ぬって!」

ラチがあかないのでチョロ松が応答、焦るチョロ松、兄弟たちに報告するが反応が薄い、100万は高すぎる、カラ松って誰?などなど

カラ松の身代金をどうするか相談するが、結論としてカラ松に払わせようという話になり答えが出ない、母に相談しようとするが、ちょうど母が梨を兄弟たちに切って持ってくる、カラ松を忘れ梨に夢中になる兄弟たち

美味そうに梨を食う兄弟たち、困ったチビ太電話を切る、気まずくなったチビ太はカラ松を開放して居酒屋に連れてゆきカラ松を慰める「きっとイタズラだと思ったんだよ!」

思い詰めて言葉を発しないカラ松にチビ太「人ひとり誘拐して家族が興味しめさねーなんて思わねーだろ!」と言ってしまう。その言葉に号泣するカラ松、慰めるチビ太

カラ松の大切さを分からせようとチビ太作戦を立てる、カラ松を家の前で火にくべてまた兄弟たちを脅迫するが、兄弟たちはカラ松に鈍器をぶつけ眠ってしまう、驚愕のチビ太、カラ松をその場に置いて帰ってしまう。おわり

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エスパーニャンコ」デカパン博士の元を訪ねる十四松と一松、一松に友達がいないから友達の猫と話せる薬はないかと相談する十四松

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デカパン博士、相手がいま何を考えているか分かる薬「気持ち薬」を出すデカパン博士、一松素直になれず薬を使う踏ん切りがつかない、薬を破壊しようとする博士に焦る一松

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悩んだ末、猫の気持ちが知りたいという一松、薬は注射で打つという事でパニックになる一松、嫌がる一松を庇い注射で薬を打たれるニャンコ、他人の本当の気持ちを代弁してしまうエスパーニャンコになる

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エスパーニャンコの力をトド松とおそ松のチョロ松ディスで試す兄弟たち、トド松猫を保護しようというが猫にこの猫金になるなと見抜かれてしまう

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兄弟たちが大好きなトト子ちゃんの本当の気持ちを聞こうとするが怖くなってやめる兄弟たち、十四松、一松に猫と話せばと言うが乗り気ではない一松

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一松、トド松に友達なんかないと言われ買い言葉で友達なんかいらないと言うがエスパーニャンコに友達が欲しいという本音が語られてしまう「何で僕には友達が出来ないの」

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自分の自信のなさや、人と関わる事の怖さ、他人を裏切る事の怖さ、寂しさ、だから兄弟といつまでも一緒にいたいという本音がエスパーニャンコの口から語られてしまいキレてしまう一松

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一松の本音の出ていけと言う言葉に逃げてしまうエスパーニャンコ、その後エスパーニャンコはイヤミや様々な人の本音を暴いてしまいウソを暴れた人々に追われてしまう

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夕方道を歩いている一松、ポケットに入っていた猫じゃらしをゴミ捨て場に捨てる、ゴミ捨て場から猫の声、思わずゴミ捨て場を漁るがいたのは別のニャンコだった

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公園で佇む一松、おそ松に茶化される一松、死んでも関係ないと強がる一松におそ松は一松がいいっていうなら探さないで帰ると言うが強がるのをやめない一松

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十四松、ボロボロの恰好でエスパーニャンコを抱きかかえ連れてくる、エスパーニャンコから十四松の「ゴメンね」という言葉が語られる、一松強がりながらもゴメンと謝る。エスパーニャンコ一松に飛びつく

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兄弟たち、和気あいあいとエスパーニャンコを連れ家に帰る「あれ?一松兄さん泣いてる?」「泣いてない」

その様子を遠くから見ている酷いケガをしてボロボロのカラ松「扱いが全然違ぁーう」

ED カラ松バージョン

 

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次回予告をするイヤミ、トド松だと思っていたか?や耳の裏が臭いなど視聴者を煽る、次週はイヤミ回だという

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プロットについて

Aパートは松野家6つ子たちに食い逃げされたチビ太がツケを払ってもらうためカラ松を誘拐、脅迫してツケを払わせようとするが、兄弟たちはカラ松を見捨てる、腹を立てたチビ太はカラ松の大事さを分からせようとカラ松を松野家前で火やぶりにするが兄弟たちはカラ松を攻撃、チビ太は驚愕し諦めて帰る

Bパートは友達がいない一松の為に十四松が猫と喋ることができる薬を使おうとするが薬が誤って猫に注射されてしまい猫が人の心が分かるエスパーニャンコになってしまう。

エスパーニャンコになった猫は一松の心を暴露してしまい追い出され、町の人々の心を暴露してしまい追われる身に。

責任を感じた十四松はエスパーニャンコを連れ戻し一松に「ごめんね」と謝り一松と十四松は仲直りをするのだが…

 

構成について

Aパート「カラ松事変」

1.チビ太6つ子に食い逃げされる

0~2(約2分)

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チビ太、松野家6つ子に食い逃げされたまったツケを何が何でも払ってもらうよう決心します。

 

2.チビ太カラ松を誘拐、兄弟を脅迫するがカラ松は無視される

2~7(5分)

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ツケの人質としてカラ松を誘拐しますが、チビ太の思惑とは裏腹にカラ松は兄弟たちに裏切られ無視されてしまいます。

3.チビ太カラ松を慰める、兄弟にカラ松の大事さを分からせるという

7~9(約2分)

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カラ松での脅迫作戦が失敗に終わり、気まずいチビ太とカラ松。そこで誘拐者のチビ太がカラ松の大事さを兄弟に分からせるため作戦を立てます。

4.チビ太カラ松を家の前で火やぶりにするが…

9~10分(約1分)

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チビ太家の前でカラ松を火にくべるが兄弟たちはカラ松に攻撃、チビ太驚愕、カラ松を開放して帰ってしまう。おわり。

Bパート「エスパーニャンコ」

1.友達のいない一松の為に十四松がデカパン博士の元を訪ねる

10~13分(約3分)

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十四松が友達のいない一松の為に猫と会話できる薬を使おうとするが、誤って猫に薬を打ってしまい猫がエスパーニャンコになってしまいます

2.エスパーニャンコ一松の心を暴いてしまう

13~17分(約4分)

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本音を代弁してしまうエスパーニャンコが暴露してしまう一松の心を暴いてしまい追い出されてしまいます

3.街で次々と本音を暴露してしまうエスパーニャンコ

17~19(約2分)

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次々と本音を暴露し追われる身になるエスパーニャンコ、エスパーニャンコが心残りな一松

4.十四松責任を取りエスパーニャンコを保護し一松に謝る

19~22(約3分)

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公園にいる一松、十四松がエスパーニャンコを連れてやってくる謝罪と和解

 

オチのカラ松

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扱いがぜんぜんちがぁ~う!!

 

構成で言えば、おそ松さんの中でこの5話がダントツで素晴らしいと思います。

この話はおそ松さんの中では珍しくAパートBパートで分かれていて、しかもAとBでつながりがあります。

簡単に言えば、次男のカラ松がAパートで兄弟に酷い目に遭わされて、Bパートでは一見関係のない兄弟同士の美しい絆を描き、オチに実はその裏で酷い目に遭い続けているカラ松を登場させ、Bパートの描いた話全てを台無しにするという構成で、1話丸々かけてカラ松の扱いの酷さに帰結するという豪勢なカラ松回だった訳です。
前提はコント、すべては笑いの為に。というスタンスがみえます。

その中で特によかったのがBパートのドラマの作り込みです。
ここが中途半端な内容ではなく、素晴らしいドラマであればあるほどオチとのギャップがあるのでカラ松が本気で酷い目に遭っているように見え、面白くなるのです。


Bパートのドラマをひとことで言うならば「他人の為にやったことが裏目に出てしまう」という内容の話です。

冒頭、人間の友達が出来ない一松の為に十四松がニャンコの友達と会話ができるようにします。
つまり物事(事件)を起こすのは友達と会話ができた方がいいと考えた十四松であり、一松はあくまでそれによって動揺し、ニャンコや兄弟との関係が崩れかけるという立ち位置です。
更に言えばこの物語の成長は誰のものかと考えると、十四松が行動を起こして、事件が起き、その事件の中でエスパーニャンコの力を借りて一松に謝り、精神的に成長する。というプロセスを辿っています。


更に演出も素晴らしく、特に十四松の演出が素晴らしいです。

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はじめは笑顔でよく喋ります。

 

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一松の心が暴露された後、ちょっとだけ口が閉じる、エスパーニャンコになってからは口数も少ない。

 

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一松に謝る直前、完全に閉口、無口

 

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「ゴメンね」とエスパーニャンコに本音を喋ってもらう事によって本来の役目を果たし、一松の「おれもごめん」と、お互いの気持ちが通じ合った所で、口が開き「アハ」と笑顔

 

整理すると、十四松がニャンコを良かれと思ってエスパーニャンコにしてしまったせいで、一松の心は乱され、エスパーニャンコがなり振り構わず本音をばら撒く様になってしまい、責任を感じた十四松がエスパーニャンコを連れ戻し、お互い本音で謝ることで一度壊れかけてしまった兄弟の絆がまた修復されるという流れです。

ここまで兄弟の絆を描いたいい演出、いいドラマをやった後でカラ松の登場によってそれを豪勢にぶん投げる。1話の中でここまで仕込んで来るとはなんとも豪華です。

 

ちなみに「カラ松事変」と「エスパーニャンコ」は放送当時、カラ松ガールズ(カラ松の女性ファン)からカラ松がかわいそう!という意見があったそうですが、個人的にカラ松推しでカラ松ボーイズな僕ですので、やりすぎでカラ松ガールズが激おこになったのも頷けます。

しかしやっぱり僕はこの回では愛されている(おいしい)のは間違いなく一番カラ松だと思います。

 

余談ですが、5話の提供スペースが編集の力で頭をゴシゴシしごかれて達するエスパーニャンコになっていて見事に下ネタ昇華し、台無しになっているのも見所です。

 

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オマケ、ミニッツライナー会はこんな感じで語ってました。

おそ松さん5話の構成について

www.youtube.com

Validation(承認)を1分ごとに区切って観てみた

 

今回のミニッツライナーはミニッツライナー勉強会として実際に仲間と集まって映像を観ながらやる体験方式でやってみました。

第1回目という事で短くて内容のあるものを考え、今回の題材は「Validation(承認)」をやってみました。

www.youtube.com

 

娯楽映画としても面白く高いクオリティのものなのでオススメです。

ミニッツライナー

タイトル「承認」車の駐車に来たヨレたYシャツを着た男、承認をもらうため駐車係の元へ向かうが駐車係ニューマンに突然褒められ困惑する「あんた、本当にそう思う?」

ニューマン、次にやってきた主婦も褒める、警備員、管理者の元へ問題が起きているという、駐車場に行列が出来て困っているという管理人、ニューマンへ文句をつける

ニューマン、文句をつけれれても承認を止めず、管理人と仲良くなってしまう、管理人承認男をボスへ紹介、ボスも男に感動し他人へ紹介、ニューマンはなんと大統領を承認するまでになってしまう

承認男は世界中の人々を承認、戦争を止め、歯医者は人気者に、駐車違反を取り締まった警察まで承認、承認はブームになりテレビのレポーターに「彼にかかれば笑顔にならない人はいない」とまで言われる

免許証の写真を撮りに行くがそこで承認男、写真係の女性ビクトリアに恋をする、早速承認するがなかなか笑顔にならない

必死に承認するがビクトリアに「承認はいらない」と言われてしまう、男はビクトリアの元へ通い詰め承認するがビクトリアは中々笑顔にならない

その後も男は承認をするが笑顔にならないビクトリアに悩み、とうとう承認出来なくなってしまう

承認できなくなった承認男、お客は離れとうとう駐車場の監視員の仕事をクビになってしまう、途方に暮れ遊園地に向かった男そこで観光客に写真を撮ることを頼まれる

観光客を見ているうちに観光客を褒め始めるニューマン、観光客の笑顔を写真に撮る、どんどん観光客から写真を頼まれるようになるニューマン

その様子を見ていた職員に雇われる事になり、観光地で写真家になってゆく

10

歯医者を訪れたニューマン、そこで隣のお客の免許証が笑顔なことに驚く、思わず駆け出し免許センターのビクトリアの元へ、しかし彼女はいなく別の男が写真を撮っていた

11

話を聞くと免許の写真を全て笑顔に撮ってしまったせいでクビになってしまったという、ニューマン彼女を探すが見つからない、がパスポートの発行所で行列が出来ているのを見つける

12

パスポートの写真撮影室に笑顔のビクトリアの姿が、ニューマンとビクトリアの再会、彼女が笑顔が出来なくなった理由は母が幼いころから重い病気になってしまったからだったという

13

ニューマンが笑顔の写真を撮った中にビクトリアの母がいてニューマンと接したことで笑うようになり母が徐々に良くなったという、この恩を伝えたいとビクトリアもニューマンを探していたという

14

ビクトリア、ニューマンに感謝を伝えるニューマン「そんのこと言ってくれる人いなかったよ」

ニューマンとビクトリアキスをして2人で旅行に行き駐車場で承認スタンプを押してもらう

THE END

15

キャストロール

プロットについて

人を承認することが得意な男ニューマンが、次々と他人を承認してゆくことで世界を変えていきますが、

一目ぼれをしたビクトリアを笑顔に出来ずとうとうニューマン自身もスランプになってしまいます。

遊園地で他人の笑顔の写真を撮っているうちに本来の自分の姿を取り戻し、ビクトリアと再開しますが、

なんと彼女はニューマンが人々を笑顔にする過程の中で救われ笑顔を取り戻しニューマンと結ばれる。

というストーリーになっています。

構成について

1.駐車場の監視員である承認男ニューマン、世界を承認の力で変える

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0~4(約4分)

駐車券の承認係のニューマンが承認の力を使って次々と人を承認して世界を変えていってしまいます。

2.ニューマン、一目ぼれした彼女を笑顔に出来ずスランプになる

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4~7(約3分)

無敵の承認に思えたニューマンですが一目ぼれした女性、ビクトリアに全く承認が効かず遂に自分自身がスランプになってしまいます。

3、ニューマンスランプ幸せそうなカップルを笑顔にして写真に収めることでスランプを脱出

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7~10(約3分)

スランプになってしまったニューマンですが、遊園地で幸せそうな人々の笑顔を引き出す事でスランプを脱出、ついでに新しい職も得ます。

4、ビクトリアと再開、自分のやってきたことが良かったのだと知る

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10~15(約5分)

ニューマンは歯医者で笑顔の免許証を見つけ驚き、自分が笑顔にしてきた人々の中にビクトリアの母がいて、母が笑顔になった事でビクトリア自身も笑顔になっていた。

その後結ばれた2人は旅行にいきハッピーエンド

 

内容について

15分の作品を起承転結に当てはめてみるとの起の部分が4分、承の部分が3分、転の部分が3分、結の部分が5分と始めが短く、お腹が転結が一番長く、結のまとめで3分の1にの割合の5分という娯楽映画の構成としてはほぼ理想的な構成を取っています。

構成だけでもこの作品がお話として練り込みがなされていますが、内容を観るとさらに相当な情報量が15分に練り込まれているということが分かります。

 

例えば冒頭、ニューマンが駐車券の承認をもらいにきたよれよれのYシャツの男に言うセリフが「ユーアーグレイト」となっていますが、最後にビクトリアがニューマンにかける言葉は「ユーアーグレイト(ここはおそらく過去形)」

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冒頭のセリフをニューマンの行いが巡り巡ってニューマン自身に戻ってくるという冒頭を意識したセリフをわざわざ使っています。

 

その他にも細かい伏線、演出が本当に素晴らしいです。

 例えば、承認を受けず笑わない彼女にニューマンは「笑ったことはないの?」と尋ねます。するとビクトリアは「幼いころよ」と答えます。

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そこでニューマンはプレゼントをクマのぬいぐるみやお菓子、ハートの送り物など子供っぽいものに変えてます。要はビクトリアを子供の頃の笑顔に戻そうとする、というニューマンの意図が現れていて素晴らしい描写です。

 

他にも

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スランプになったニューマンが遊園地で写真を頼まれる場面でニューマンがいいなぁ君たちには笑顔になる理由があるのかと初めてニューマン自身の本音の願望が出ます。

ここが伏線です。

遊園地に来ていたカップルの姿を観てここで初めてニューマン自身の本当の欲しい望みが明らかになり、他の他人ではなくニューマン自身の本当の望みが明らかになった所からお話は収束に向かい、最後にこの言葉どおりビクトリアと旅行に行くのです。

 

 

他にも今回の勉強会の参加者の方の指摘でビクトリアを褒めるときはじめニューマンは瞳が素晴らしいというが、遊園地でビクトリアの母親を見つけた時もニューマンはビクトリアの母親のとは知らずに瞳を褒めます、どこかビクトリアの面影を見ているという細かい演出です。

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まとめ

何故こんなに面白く分かりやすいのか?

この映画の面白さ分かりやすさ一端を担っている部分として記号的な表現を一貫して同じ意味合いで使い続けるという部分があります。

 

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例えば、冒頭の駐車場の承認を貰いに来た男性、彼の服装を見てみるとなんだかヨレヨレのYシャツを着ていてネクタイも曲がっているし、顔に覇気がありません。

要はちょっと疲れてしまっている所を映像的に分かりやすい形で提示している訳です。

 

次にニューマンが彼女が笑顔になってくれず、遂にスランプになってしまう場面

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服がヨレます。

つまりこの映画の世界の中では心の安定が取れないと服装が雑になるのです。

一方、現実の世界で考えてみると例え服がヨレてしまっていても心が安定している人もいます。

ピチっとした服装よりもラフな格好の方が好きな人もいるかもしれません、つまり例外がいくらでも存在するのです。

がそこを記号的な表現であえて統一することで15分でこれだけの情報量を詰め込んでも混乱せずに観ることが出来ます。

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スランプになったニューマンから承認が貰えなくなった途端ネクタイを緩める男性

 

こうした作品内で一貫性のある記号的表現の積み重ねでこの映画は15分でありながら驚異的な情報量でなのにも関わらず分かりやすく面白い作品になっているのだと思います。

他にも他人を承認するというテーマでありながら、どんな奴でも笑顔にしてしまう男、ニューマンとどんな事があっても笑顔にならない女、ビクトリアという極端な対比を持たせる事によって深いテーマでありながら娯楽映画として面白く、分かりやすい対立構造を持たせる事も入れ込んでいます。

 

 

 

あとがき

今回、少人数で勉強会を開催してみんなでやってみましたが、15分くらいの動画を選んでみてある程度の満足度が得られたので次回は24分(30分枠のアニメ)に挑戦してみたいと思います。

「シンデレラ」を1分ごとに区切って観てみた。

2月にめさき出版編集長である家清氏が自宅でミニッツライナー勉強会を行い僕もそれに参加してきました。

 

めさき出版 -とは

創作の力で世界を変えるそんなSNSです。

 

そこで題材になったのはディズニー版「シンデレラ」

なので今回はシンデレラを扱っていきたいと思います。

 

ミニッツライナー 

 

0

OP、キャストロール、シンデレラを讃える歌

1

OP、シンデレラの本が開かれ、話が始まる、むかしむかし~

2

シンデレラの父が死に、継母と姉たちにいじめらるようになったという

3

ナレーション終わり、小鳥、寝ているシンデレラを起こしにやってくる、小鳥と戯れるシンデレラ

4

「夢は話すと叶わなくなるのよ」と夢の歌を歌うシンデレラ

5

時計の鐘の音に歌がかき消される「時計まで命令するのね」

6

歌い、踊りながら身体を洗うシンデレラ、それを手伝う動物たち

7

ネズミのジャック登場、ネズミがネズミ捕りに捕まったと知らせに来る

8

知らせを聞いてネズミを助けに向かうシンデレラ、ネズミに服を与える

9.

名前をもらネズミ命名「ガス」、猫のルシファーを母の部屋へ探しに行くシンデレラ

10

シンデレラ、ルシファーに餌を与えるためキッチンへ連れてゆく

11

ブルーノ登場、寝ぼけているブルーノ、ルシファーをいじめないように叱られる

12

ルシファー、ブルーノを騙して自分を襲われている様に見せる、それを叱るシンデレラ、ブルーノ追い出される

13

シンデレラ、家畜たちに餌をやる、ネズミたちも餌をもらいに行きたいがルシファーがいてもらいにいけない

14

ジャック、クジで負けてルシファーのおとりをする事に

15

ジャック、ルシファーの顔にミルクをかけて注意を逸らす、その隙に餌を取りに行くネズミたち

16

ガス、シンデレラからたくさんの餌をもらう、ジャックが注意を引いている間に住処へ餌を運ぶネズミたち

17

ガス、落とした餌を拾おうとしてルシファーに見つかってしまう

18

テーブルの上に逃げるが、カップの中で捕まってしまうガス

19

カップの中にガスが入っているとは知らず、カップを姉の元へ届けようとしてしまうシンデレラ

20

ガスの入ったカップを姉の元へ届け終えてしまうシンデレラ、ルシファーがっかり

21

姉の悲鳴、ネズミが入ったことを継母にチクられる、継母の部屋へ呼ばれるシンデレラ

22

ネズミを入れた罰に屋敷中の掃除を言い渡されるシンデレラ

23

王様登場、王子の嫁が出来ないと癇癪をおこして暴れている

24

孫が欲しいという王様、舞踏会を開いて王子に機会を与えるという

25

舞踏会にノリノリの王様、なんと今夜、舞踏会を開催するという

26

歌の稽古をする継母と姉たち、掃除をしながら歌うシンデレラ

27

シャボン玉に写るシンデレラ、ルシファーが悪さをして床を汚してしまうがそこに王宮からの手紙が届く

28

王宮からの手紙を継母に届けるシンデレラ、我先と手紙を取り合う姉たち、舞踏会の知らせに興奮する姉たち

29

継母から舞踏会には出てはいけないと言われ反論するシンデレラ、継母からふさわしいドレスがあれば出てもいいと約束をする

30

亡くなった母親のドレスと手直ししようとするシンデレラ、しかし姉たちから仕事を押し付けられドレスの手直しに取り掛かれない

31

シンデレラのかわいそうな境遇を嘆き歌うネズミたち、自分たちでシンデレラのドレスを仕立てる事を考える

32

早速ドレスの手直しにかかる動物たち

33

ドレスの材料を取りに行くため姉の部屋へ向かうがそこでルシファーに見つかってしまう

34

ネックレスを手に入れたいがルシファーがいじわるをして上に座ってしまう、またおとりになるジャック

35

ジャックがおとりになっている隙にネックレスを手に入れて逃げるガズ

36

逃げる途中、ネックレスをバラしてしまうガズ、ギリギリのところでネックレスを回収して脱出成功

37

歌いながらドレスを作る動物たち、ついに完成

38

鐘の音、タイムリミット、馬車が来たことを継母に伝えるシンデレラ、継母から行かないのかと嫌味を言われる

39

悲しみながら部屋に戻るシンデレラ、動物たちからドレスのプレゼント「サプラ~イズ!!」

40

ドレスを着たシンデレラ、舞踏会へ行こうとする、驚く姉たちシンデレラのドレスを引き裂いてしまう

41

ドレスを引き裂かれ走り出すシンデレラ

42

もう夢を信じる事が出来ないと嘆くシンデレラ、そこへフェアリーゴットマザー登場シンデレラを慰める

43

魔法を使うための杖を探すゴットマザー、なかなか見つからない

44

ビビディ・バビデ・ブーの歌、かぼちゃが馬車に変身

45

ネズミは白馬に、馬は御者に変身、

46

ブルーノはお付きに変身、焦らしに焦らしてドレスを変身させる

47

ドレスに感激するシンデレラ、しかしその魔法は12時までしか効果がないと注意し笑顔でシンデレラを送り出すゴットマザー

48

王宮、王子にあいさつする娘たち、しかし興味のない王子、あくびをする

49

姉たち王子にあいさつする、舞踏会が上手くいっていないとぼやく王様

50

王子、シンデレラを見つける、大公の言う夢の様は運命的な出会いを果たす

51

王様、ワルツをかけさせる、シンデレラと王子のダンス

52

王子の気に入る相手が見つかり上機嫌の王様、継母、相手がシンデレラだと気づきかける

53

シンデレラ至福の時、王子と恋を歌う

54

キスの直前、時間が来てしまう、帰ろうとするシンデレラ、止めようとする王子

55

馬車に飛び乗り逃げるシンデレラ、追う王宮の手下たち、タイムリミットで魔法は解けてしまう

56

魔法が解けてしまったシンデレラ、ガラスの靴だけが残ってしまうがずべてに感謝をする

57

孫の夢を見る王様、大公に対してドンドン期待を膨らませる

58

シンデレラが逃げてしまったことを聞き大激怒、剣をもって大公に襲いかかる

59

王子がシンデレラを探していると聞いて機嫌を直す王様、国中の娘にガラスの靴を履かせるという

60

王宮からの告知、それを知った継母大慌てで姉たちを起こす

61

自分の相手が王子でそれが自分を探していると知るシンデレラ、これはチャンスだと姉たちに言う継母

62

大慌ての姉たち、ポーっとしてしまい心ここにあらずのシンデレラ、シンデレラの様子をあやしく思う継母

63

継母、シンデレラを部屋の中に閉じこめてしまう

64

大公がシンデレラの家へやってくる、姉たちを紹介する継母

65

ガラスの靴を見るや否やこぞって自分の物だと主張する姉たち、この隙になんとかシンデレラの部屋の鍵を手に入れようとするジャックとガス

66

大公の長い長い説明、その隙に鍵を取ろうと継母のポケットに忍び込むジャック、なかなか上手くいかない

67

アナスタシア、ガラスの靴を履いてピッタリだと主張するが、どう見ても足の方が大きい…、その隙になんとか鍵を手に入れるジャックとガス

68

アナスタシアがごねている間に鍵をシンデレラの部屋へ届けようとするジャックとガス

69

部屋の目の前でルシファーに捕まってしまう、ネズミたち必死に抵抗するが歯が立たず

70

動物たち、ルシファーへ猛攻撃、ブルーノを呼びに行く小鳥たち、ドリゼラ靴が入らないことに暴れて危うくガラスの靴を割ってしまいそうになる

71

ブルーノ、ルシファーに襲いかかり追い出してしまう、部屋から解放されたシンデレラ大公を呼び止める

72

シンデレラの登場に面白くない継母、家来の足を引っかけガラスの靴を割ってしまう

73

シンデレラ、もう一足のガラスの靴を差出し、王子と結婚、馬車に乗ってハネムーンへ、幸せなキスをして終了

74

本が閉じられED

75

 

構成について

シンデレラのストーリーは貧乏ながらも清い心を失わないシンデレラが日々の苦労が報われて魔法の力を借りて舞踏会で王子と出会い、最後には自分の証を示して王子と結婚して幸せになる。というのがメインのストーリーです。

そこから構成を時間で割ってみると

 

1、継母たちに使用人の様に扱われるシンデレラの家に王宮から手紙が来る

0分~27分(約27分)

 

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2、ドレスがあれば舞踏会に参加させてくれると継母と約束、しかし約束は破られてしまう

27分~40分(13分)

継母との約束でドレスを用意するが姉たちに引き裂かれてしまう

 

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3、ゴットマザーの登場、魔法の力で舞踏会に行くが時間がきてしまい魔法は解かれてしまう

40分~57分(17分)

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4、王子が探し、シンデレラが自分で証を示し王子と結婚、幸せになる

57分~75分(18分)

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驚異の描写力ディズニーアニメ

構成で見ると冒頭の部分に30分ほど使っていて多少エンターテイメント映画の起の部分としては長い部類なのですが、何に時間を使っているかと言えば動物の描写であったり水や布を被った動物などアニメーションにするのには非常に手間や技術が掛かる所に時間を使っています。

当時のディズニーのアニメに対する自信や熱量が感じられます。

そして今回シンデレラを取り扱ってみて一番驚いたのはその演出力と描写力です。

 

例えば

 

シンデレラがガスが誤って姉のカップに入ってしまいその罰として掃除を言いつけられ歌いながら掃除をする場面

 

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シャボン玉にシンデレラが写りそのシャボン玉がドンドン増えて掃除をするシンデレラが増えます。

要はシンデレラがいかに長い長い間、この使用人同然の仕打ちを受けているのかを動画で表現している訳です。

これはシンデレラの作られた1950年ではアニメでしか出来ないドラックな表現、演出ではないでしょうか。

 

次にシンデレラは舞踏会というチャンスが巡ってきてからのゴットマザーの出現によって魔法で救われるところです。

 

シンデレラは舞踏会に出さないという継母たちに食い下がってなんとかふさわしいドレスがあれば舞踏会に出させてくれると約束をします。

そこで実の母が遺してくれたドレスを手直しして舞踏会に出ようとしますが姉たちの妨害により手直しする時間がありません。

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そこで動物たちが日ごろの恩返しとしてシンデレラのドレスを手直しします。

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そのドレスは無残にも引き裂かれてしまいます。

 

要は一度、シンデレラの行いが日ごろの行いが報われて舞踏会に行ける事になったのですがそこを踏みにじられるわけです。一度報われてから落とす、これがあるからあのシンデレラがもう夢を信じる事が出来ないと自分の信念や信仰心が大きく揺らぎその絶妙なタイミングで魔法使いのゴットマザーが登場するのです。

 

もう一つに主催の家清編集長が言っていた部分で素晴らしかったのはこのシンデレラの演出では鐘の音をタイムリミットを知らせるものとして演出しています。

 

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冒頭、シンデレラ

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舞踏会では幸せな時間の終わりを告げる鐘の音

 

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しかしラストでは王子と結婚を告げる始まりが鐘の音になっています。この見え方の転換も上手く演出として使っています。

個人的に好きな描写

個人的に好きなのは姉のアナスタシアとドリゼラの描写です。

 

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ドリゼラとアナスタシア

 

これがすごいのはディズニー渾身の描写力でもってブスを表現しているところです。 

ほうれい線をガッツリ描き、手足が異常に長かったりデカかったり、半目がちだったり今では流石に問題になるだろと思うほど、とにかくすごいです。

まるで監督か誰かがブスに親でも殺されたのかと思うほどの執拗なブス描写です。

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ニヤついてるドリゼラ 

 

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アナスタシア渾身のキメ顔

 

この素晴らしい描写を挙げるとキリがないがないのでアナスタシアとドリゼラのオススメの顔をまとめてみたので良かったら壁紙にでもして毎日思い出して下さい。

 

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やはりみんなで映画をガッツリみてその上でここが良かったと話し合うのはすごく楽しいですね。

 今回の勉強会は定期的行われるの予定なので今後も参加したいです。

 

おそ松さん2話を1分ごとに区切って観てみた。

1話はこちら

 

benio25250.hatenablog.com

ネタバレしかしていません。

 

ミニッツライナー

 

0.釣り堀で釣りをしている、カラ松とトド松

1.カラ松のカッコつけにツッコミまくるトド松、チョロ松と十四松登場、デリバリーコントを始める

2.デリバリーコント終了。チョロ松「なんか怖くない?」カラ、トド「えっ??」OP開始

3.OP

4.ハローワークにやってきた6つ子、おそ松ビックになりたい!

5.それぞれの希望職種を言った後、昼から居酒屋でビールを飲む6つ子

6.もうアイドルはやりたくないとチョロ松、帰りたがる一松をイジる兄弟たち

7.昼からの居酒屋に苦言を呈していたチョロ松、酔いつぶれてネイルを自慢するOLに怒りを露わにする

8.イヤミを発見、金をせびるが断られイヤミの車を襲撃する

9.イヤミが求人を募集しているという事でその仕事をやることにする6つ子が、職場についてみると全体的に「黒い」

10.見るからに不潔な環境のおっさんとの間接ケツに恐怖するトド松

11.責任者っぽい利根川っぽい人に仕事の説明をされ「ぞわ…ぞわ…」する6つ子

12.黒い工業のライン仕事開始、

13.ライン仕事にハイになる6つ子、仕事終了。イヤミの就業の演説「おっとなにな~れ!おっとなにな~れ!」

14.おそ松「これって騙されてない!?」6つ子工場を脱出。真面目にラーメン屋で働き始めた…と思いきや5人で1分の仕事を10分交代でやっていた。おわり

15.おそ松独りブラックジャックに興ずる、流石に寂しくなり他兄弟を探しに外へ

16.地下ライブ会場でチョロ松を発見。チョロ松が推しているアイドルに暴言を吐くおそ松

17.おそ松、更にアイドルにS○X連発のセクハラ行為、チョロ松時間切れで結局アイドルと握手できずマジ切れ

18.おそ松公園で女の子に色目を使うカラ松を発見、後ろから驚かせて結果カラ松に殴られる

19.女の子とデート中のトド松と遭遇無視されて寒さに震える、路地裏で猫をなでる一松を発見、一松爆発猫と合体

20.十四松、野球のユニフォームで川を猛烈に泳ぐ、兄弟に無視されたことをおでん屋のチビ太に愚痴る

21.チビ太に兄弟いるだけいいじゃないかと言われるも、おそ松逆切れ

22.逆切れして腹を立てながらも、謝る覚悟を決めて家に帰るもそこにはニューおそ松兄さんが

23.おそ松、切れてニューおそ松兄さんを蹴り飛ばす。ED「今夜は最高~チョロ松typeA~

24.次回予告カラ松「こぼれ話」

 

プロットについて

最初の2分に短いデリバリーコントがあり、その後「就職しよう」と「おそ松の憂鬱」と2つのお話が展開されます。

6つ子が就職する為に頑張る話と、おそ松が兄弟に構って欲しくてちょっかいを入れる話ですね。

 

1.チョロ松と十四松のデリバリーコント!

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(0~3分の約3分)

いわゆるつかみの部分

つかみにシュール系のコント入れるのって

なんか怖くない?

 

2.就職しよう

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(3~14分の約11分)

ニートな6つ子がハローワークに行き、イヤミの紹介で視覚的にも内容的にもブラックな工場で働き、脱出します。

 

3.おそ松の憂鬱

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(15~24分の約9分)

兄弟に構ってもらえなくて1人でブラックジャックをするくらい寂しいおそ松が構ってもらうために兄弟にちょっかいをかけてその結果、更に孤立します。

2話の内容は個性紹介

2話で展開される「就職しよう」と「おそ松の憂鬱」ですが、これでもか表現される内容は要は各6つ子の個性説明です。

 

冒頭のハローワークで6つ子の違いを見せたあと、居酒屋でのセリフでもダメ押しで1人1人の反応見せて冒頭から個性の違いを強調します。

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6つ子それぞれのハローワーク職員に対する対応

 

チョロ松のツッコミを通じた各兄弟の対応

おそ松「ぱぁ~やっぱり仕事の後のビールは最高だな!」
チョロ松「いや一個もしてねぇから!全員追い返されてるから!」

トド松「でも楽しかったね~」
チョロ松「おめぇは何しに行ったんだトド松~」

十四松「な~んかウケなかったな~」
チョロ松「おめぇは何しに行ったんだ十四松!」

カラ松「へっこれぞ正にお先真っ暗」
チョロ松「(食い気味に)おめぇはなんで生まれてきたカラ松!!」

一松「………」
チョロ松「せめて何か言って!一松!」

 

元々おそ松くんは誰がどれだか分からない。という事が鉄板ギャグとして多様されていましたが今回の「おそ松さん」ではそこを振り切って内面のキャラづけをハッキリと分けている所が前作までとの大きな違いです。

後半の「おそ松の憂鬱」でも展開される物語は視聴者がおそ松という乗り物に乗ってそれぞれの兄弟を巡る話なのでいかに6つ子キャラを2話の中で分かってもらうかに対して工夫を凝らしているかが分かります。

このキャラの違いを重要視している様子は作品全体からでも表現されていてOPからでも見受けられます。EDも実質6つ子が他の6つ子を口説くという実質キャラソンですしね。

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そしてこのキャラ分けが視覚的にもセリフ的にも非常に巧みなのでキャラクター同士の関係性を重視するBL文化に受け入れられ爆発的な人気になったのだと思われます。

(もちろんギャグも面白いです。)

 

1話との比較 

1話と比較すると1話はアニメ全体の説明、2話キャラの説明とハッキリ分けていることが分かります。

1話ではメタギャグ、パロディを多めに入れ込んだに対して2話がキチンと個性を示してどれが誰だが分かってもらう、過激な内容の割に分かりやすくて面白くなる様に考えられていて非常にちゃんとしています。

作り手は「おそ松さん」が成功するのにこの1話と2話ににかかっている。と思っているな感じられるほど手際がいいです。

 

おそ松さんBL化について

おそ松さんが人気になり、pixivなどで「BL松」というタグで大量にBLおそ松さんBL画像が投稿されている事について個人的には非常に気持ちが分かります。

「おそ松さん」自体が腐女子向けだとは思いませんが、こんなにおいしい関係性をほおっておくことは無理でしょう。

どこかのブログで腐女子の方が「おそ松さんは愛される為に個性を獲得したのだ」と言っていてこれは言い得て妙だなと思うのです。今の時代に合わせてフォーマットを変えてここまで面白くしたのですから英断です。

個人的には自分と同じ顔の兄弟同士で自分と同じ顔を愛し合うというナルシストを超えたテーマ性に、正直見る度ギョッとしましがそれはそれでマッドでとても面白いです。

既に人気のおかげで2期が決定して盛り上がれば盛り上がるほどグッズも増えるし、スタッフのモチベーションもあがるし、僕らも面白い「おそ松さん」が観られるのでもっとやって欲しいです。

いいぞ。もっとやれ。

 

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ちなみに僕の推し松は聖澤庄之助です。

 

おそ松さん1話を1分ごとに区切って観てみた。

赤塚不二夫生誕80周年で伝説のアニメ「おそ松くん」が「おそ松さん」として復活しました。

復活早々にに現在の人気アニメのパロディをやりまくった第1話が「本作制作委員会の判断」により第1話をDVD1巻に収録をしないことを発表したり、第3話にて「それいけ!アンパンマン」のパロディが過激だったため、
BSジャパンで放送された際、修正されてしまったりと話題の多い今作ですが1分ごとに観てみてその魅力に迫ってみたいと思います。

ネタバレしかしていません。

気にする方はご覧にならないで下さい。

 

ミニッツライナー

0.タイトル「ふっかつおそ松くん」

1.おそ松くんのアニメ復活に喜ぶ6つ子、しかし人気が出るのかと心配するチョロ松

2.おそ松くん復活を聞きつけ、イヤミやトト子ちゃんなどのキャラがやってきて復活を喜ぶ

3.昭和な内容に不安をぬぐい切れないチョロ松、おそ松に秘策があるといいアイドルとして復活する6つ子

4.アイドルとしてコンサートを開く6つ子、人気がでて満足げ

5.イケメン学園アイドルF6となった6つ子、それぞれの紹介

6.アイドル6つ子の紹介終わり

7.アイドルの力でアクシズ落下を阻止、トト子購買でパンが買えなくて困っている

8.トト子、おそ松とカラ松に絡まれる、カラ松校内で車に轢かれそうな子猫を救う

9.十四松登場、勢いで半裸になる。一松登場、一松400年前帝王なんとかから世界を救ったなんちゃら王家の末裔であることが明らかになる。

10.トド松登場、日傘バーニャカウダーアオハライドアカハライドで女子力を見せつける。チョロ松登場、リーダー格の背負ってる感じと童貞力を見せつける

11.6つ子トト子を取り合う、トト子興奮して死亡。テコ入れの効果を実感する6つ子、しかし体力の限界が。

12.一松に限界、カラ松取り繕おうと女子にキスをしようとするが、限界がきてゲロを吐く

13.昭和フルコースのギャグをやってしまいファンが離れる、そこへイケメンになったイヤミが登場。

CM90秒の休み

14.イケメンイヤミのフォローが入るが前歯のツメが甘い、イケメンになったダヨ~ン、ハタ坊登場

15.部活アニメパロディに手を出し始める、マッドマックスラブライブパロディ、イケメンになったデカパン登場

16.進撃の巨人と化したチビ太登場、チンコにチビの要素を残す

17.5兄弟と巨人チビ太との戦い、チビ太の弱点のおでんを突く

18.復活に湧き好き勝手にパロディを入れる一同にチョロ松のツッコミが入る「コラー!!!」

19.迷走したことを赤塚不二夫に謝罪。ナレーション「こうして6つ子はアニメ再開という大きな試練を前に出口のない迷宮へと迷い込みました。そして十数年の月日が流れ…彼らは二十歳を超えても特にやることも見つからず、ダラダラと日々を過ごし身体だけが大人のおそ松さんになったのでした。」

20.これからどうするかそれぞれ聞く6つ子、しかし何も見つからない。そしてOP

21.放送を終えてみての感想をおそ松から求められる十四松

22.最終回のような締め、「次回からちゃんとやります!すみませんでした!」とチョロ松、ED

23.次回予告するおそ松

24.1分尺が余ってしまいなんとか時間を稼ぐおそ松

 

構成について

いわゆるAパートBパートではなく話の流れで構成を割ってみました。

 

1.ふっかつおそ松くん

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(0~4分の約4分)

赤塚不二夫生誕80周年に喜ぶおそ松さんとその仲間たち、しかしこんな古いアニメで人気が出るのかと心配するするチョロ松におそ松には秘策があるという。

その秘策とはおそ松くんをBL学園アイドルアニメにしてアニメパロディを入れてしまえというものだった。

 

2.学園BLロディアニメF

benio25250.hatenablog.com

(4分~18分の約14分)

人気獲得のためイケメンになったおそ松くん6つ子たち、しかしだんだんと無理が出始めパロディに手を出して収拾がつかなくなる。

迷走したことを生みの親である赤塚不二夫に謝罪

3.こうして6つ子はアニメ再開という大きな試練を前に出口のない迷宮へと迷い込みました。

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(18分~21分の約3分)

ここから「おそ松くん」から「おそ松さん」へ

OPを流して一旦の区切り

 

4.「おそ松さん」1話を終えてみて

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(21分~24分の約3分)

1話後のフリートークなのにまるで最終回のような十四松の口ぶり、

チョロ松の「次回からはちゃんとやります!すいませんでした!!」で締め、EDへ。

次回予告で尺が余ったからおそ松にフリートークをさせるというギャグ

 

プロットについて

「おそ松さん」第1話はおそ松くんが復活したはいいけどじゃあどうすればいいのか?という作り手の問題をツッコミ役のチョロ松の悩みとして詰め込んだ物語です。

その結果のとにかく安易なアイドル展開、BL展開や他アニメのパロディをすればとにかく人気が出ていいのではないか?という行動自体をギャグとして描く1話になっています。

 

ここがすごいよおそ松さんのアニメパロディ

1話のおそ松さんのなにがすごいってパロディがすごい

短い時間に詰め込めるだけ詰め込むのはリピートしても十分楽しめます。

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前半は最近の流行りのアニメパロディが多め

 

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後半は少年ジャンプと90年代アニメパロディが多め

 

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昭和風白黒アニメに戻った後もちゃんとパロディをやっているのが凝ってます

 

炎上マーケティング?おそ松さん1話

news.livedoor.com

 

おそ松さん第1話がDVDに「本作制作委員会の判断」によって収録されない。という事で話題になった1話ですがこれってステマじゃないの?と勘繰られました。

まず1話の構成を見てみると「このアニメの方向性を分かってもらう」という目的がハッキリしていて、内容もパロディも面白くてしっかりとしているんですよね。

この1話を通じてこのアニメがどういうアニメでどういう面白さに溢れているかが24分でキチンと整理されている。このアニメはこれこれこういう内容ですよ。というパイロットフィルム的な1話として非常に出来が良かったわけです。

逆にこのしっかりしすぎな具合が「これって確信犯だったんじゃないの?」となってしまう気持ちも分かります。

 

もはや炎上してもこれって仕込み?そうじゃないの?もうわからんわ。となってしまっている辺り涼宮ハルヒの1話の時の様になんだかこのアニメすごいぞ!と素直に乗れないのも、なんか前にも見たな。炎上込み込みなんじゃないの~?という意見が頻発する辺りにアニメーションの文化とマーケティングの進化を感じます。

 

個人的にはマーケティングだろうが狙っていようが、好きな物には乗りたい人間なので気にはしないです。

 

次回は2話を取り扱い2話の内容と1話との比較を行いたいと思います。

 

 

benio25250.hatenablog.com