映画を1分ごとに区切って観てみた。

映画の評論、研究を行うブログです

「かぐや姫の物語」を1分ごとに区切って観てみた。中編

ネタバレしかしていません。

未見の方は、日本を代表するアニメーション監督、高畑勲監督の「となりの山田くん」から14年ぶりの新作「かぐや姫の物語」是非是非ご覧下さい。

benio25250.hatenablog.com

物語としての工夫

物語の構造、キャラクター、内容の工夫を見てみます。

かぐや姫は何しに来たか?

劇中月へ帰らなければならなくなったかぐや姫はこんな事を言います
「私は、生きるために生まれてきたのに。鳥や獣のように」
かぐや姫は元々月の世界の住人です。
月の世界についてはあまり描写されませんが、最後に迎えにやってくる月の王を始めとする使者たちの姿であれが仏様である事が分かります。
月のパレードの元ネタと言われる阿弥陀聖衆来迎図(あみだしょうじゅらいごうず)

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ここから月の世界とは極楽浄土の様な、死に限りなく近い、苦しみも、喜びも全ての煩悩を廃した悟った世界であることがここから分かります。
ここからかぐや姫の物語の宣伝文句にもなっていた「罪と罰」が伺えます。
かぐや姫の罪は昔、地上に行った月の住人の様子を見て業に憧れを持ってしまった事、罰はその憧れの地上の世界に生まれさせられ業を体験させられる事です。

憧れを持った事が罪なのにその罰がその世界へ行く事とは、月の住人達が如何にこの世界が苦しみに満ちていると認識しているかが分かります。


月の世界からすれば、わざわざ悟った苦しみのない世界にいるのに業を求めて苦しみに行きたがるわけですから、例えて言うなれば人間の世界にいるのに獣みたいに樹海で生活したいと言い出すと考えれば愚か以外の何物でもないでしょう。


俗っぽく解釈してしまえば、今回のかぐや姫の物語の解釈は
都会育ちの娘が田舎に憧れて田舎田舎と言って聞かないのを、じゃあ行ってこいと田舎に放り出されて田舎で酷い目にあって出戻る話なわけですね。

ここからかぐや姫が一体何に憧れたのかといえば、苦しみも何もない悟り的な世界から苦しみから通して見える生の実感に憧れていたのにも関わらず実際の地上の生活はかぐや姫からしてみれば貴族生活は人間が勝手に管理しているので本物の野生ではなく中途半端に緩い訳です。

中途半端な貴族生活に対しては人間の勝手に作った社会もニセモノと私もニセモノかぐや姫は怒り狂う

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まとめるとかぐや姫は元々何もない世界に住んでいたため生への実感に憧れ、この地上へやってきて謳歌する、僕らが住んでいるこの地上は辛いことがあるにせよ、かぐや姫が憧れる程、生の喜びに満ちている「生の肯定」がテーマにある事が分かります。

男の愛はお節介

この物語の面白い点は話がかぐや姫の幸せが上手くいかなくなってしまう原因は実は父親にあるという描写がなされています。
冒頭、翁がかぐや姫を姫と呼ぶあたりの溺愛振りは非常に微笑ましく描かれていますが、それからの翁の行動はかぐや姫を苦しみ続けます。

顔が崩れる程、姫を溺愛する翁

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更に注目したいのはかぐや姫を溺愛しているのは翁だけではなく月の国の人間も翁と同じくかぐや姫に何かと手を掛けてしまうのです。
かぐや姫に対して金や着物など豪華な仕送りを送り、かぐや姫の疾走と放浪とその後の命の危機にはまるでその出来事が無かったかのようにします。
更に御門に言い寄られ、思わず助けを求めた際には問答無用で迎えにやって来ます。
ラストにはようやっと捨丸とほんの少しだけ生の実感を味わう事が出来たのにまるで夢の様に手を加えてしまいます。
最後に牛車に乗って屋敷に帰る描写があるので捨丸にとって夢でも、かぐや姫にとって捨丸との再会は夢ではありません。

かぐや姫の命の危機に助けにやってくる月の使者

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こうして見てみると、翁も月の王もかなりの親バカなのです。
ここにはもっと世俗にまみれて生を謳歌したいかぐや姫の意向は一切ありません。
おそらく、最後に登場する月の王はかぐや姫の実の父なのではないでしょうか。
このような善人でありながら、親の意向に沿う様に娘の幸せを願う親のエゴを物語が進む推進力にしているの点は非常に面白いです。

構成としては苦難はだんだん強くなる

かぐや姫の意向が一切反映されない苦しみは物語として良くできていて、それがだんだんと強くなってゆきます。

始めは良かれと思って翁が都に住まわせ、
次に、かぐや姫を宝物と評し虚栄心を満足させる道具として見る貴公子が田舎を何とか諦めていたかぐや姫を乱し、
次に、完全に自分の主観しか存在しない御門が現れ、我慢が出来なくなり
最後には言葉すら通じない月の王にまさに問答無用で連れ戻されます。
やってくる人々はかぐや姫の意向や気持ちは無視し、しかもだんだんとその理不尽感が強くなる辺り非常に辛く物語に緊迫感を与えてくれます。

御門以上に話は通じない月の王

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魅力的なサブキャラクター

かぐや姫に登場するサブキャラクターたちですが、魅力的になる為に様々な工夫がされています。
例えば、かぐや姫に求婚する貴公子たち
かぐや姫に求婚する男達は具体的には5人間の貴公子と帝が登場しますがそれぞれ違う個性で持って違うアプローチでかぐや姫に言い寄ります。

車持皇子は大袈裟な武勇伝で自分をアピールしますし、阿部右大臣は自分がどれだけ財産をかぐや姫に捧げられるかで誇示します、大伴大納言は自分がいかに武力を持っているかで勝負しますし、石作皇子は真心や2人だけでなど言葉巧みな甘い言葉で誘います、石上中納言はなんだか頼りなくて母性を刺激します。
大体男が自分がいかにオスとして優れているかをアピールするパターンを劇中貴公子たちは体現して行動しそれが滑稽に描かれています。

あらゆることを尽くして言い寄ってくる5人の貴公子たち

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脇役のキャラクターで見逃せないのが、かぐや姫に仕える女童です。
彼女はキャラクターの設定で言えば内面やバックボーンが殆どありません、葛藤や目的もないしそもそも名前ないしセリフも必要最低限です。
そんなキャラクターが何故魅力的かと言えば非常に細やかな所作にあります。

貴公子の乱れた衣装を直してあげたり、かぐや姫のお世話の合間を縫って食事を摂ったり

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この所作が彼女の内面を映し出し非常に愛らしいキャラクターになり、物語に和みを与えてくれます。

この女童の特異な点はもう一つあって彼女だけ非常にデフォルメされている点です。
彼女だけ物語のリアリティから少し外れています。
その描写の1つとして女童は歳を取りません。

かぐや姫ですら屋敷に来てから長髪になり大人びているのに彼女は一切変わりません。一種の妖怪のようなな扱いをされています。

初登場の女童

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ラストにわらべ歌を歌って登場する女童

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この様に古典である「竹取物語」を映画にするにあたって物語的にも新しいテーマや人物の性格など新しいものを積極的に取り入れて工夫をしているのが分かります。

 

後半は個人的に好きなシーンを書いていきます。

「かぐや姫の物語」を1分ごとに区切って観てみた。前編

ネタバレしかしていません。

未見の方は、日本を代表するアニメーション監督高畑勲監督の「となりの山田くん」から14年ぶりの新作「かぐや姫の物語」是非是非ご覧下さい。

ミニッツライナー

0.タイトル「かぐや姫の物語」

1.監督高畑勲本編スタート

2.竹取りをしている翁、不思議な輝く竹が伸びてくる

3.竹から現れた姫、微笑んで寝てしまう、翁「なんと美しいお姫様じゃろう」

4.翁、姫を大事に手の中に入れて家に持って帰る

5.媼と翁かわいい姫を取り合う、媼が手に持つと姫は赤ん坊に変わってしまう

6.媼と翁、隣の家に乳を分けてもらいに行く

7.不思議な事に媼から乳が出るようになる、少し大きくなる赤ん坊

8.また少しまた少しと大きくなる赤ん坊、梅など周りにも影響を及ぼす

9.花が咲き、蛹が蝶になり季節が変わる、愛らしい赤ん坊を見つめる翁と媼

10.ハイハイをする姫、仕事をしている翁媼、そこに子供達が集まってくる

11.姫の目の前にカエルが、カエルの真似をしてジャンプをするようになる

12.カエルを追いかけてそのまま軒下に落ちてしまう、慌てる翁と媼、立つ姫、がカエルに逃げられてしまい大泣き

13.集まってきた子供達にたけのことバカにされる姫、顔を真っ赤にして怒る翁、翁の姫コールからの溺愛

14.翁の竹取りの手伝いをする姫、成長して走り回れるようになっている

15.少し離れた場所でウリ坊を見つけ遊び始める姫

16.怒って突進してくる親イノシシ、捨丸に助けられる、捨丸との初対面

17.捨丸と子供達と合流、わらべ歌を歌う子供達、何故かその歌を知っている姫

18.少し違う歌の続きを歌い、何かを思い出し涙を流す姫

19.迷子になった姫を探す翁、竹林で光る竹を発見、中から金が出てくる

20.子供達と元気に遊ぶ姫、このままでいいのかと心配する翁

21.捨丸の家族の仕事場を見せてもらう姫、木からお椀を作っている

22.瓜畑でうまそうだなと瓜を見つめる子供達、瓜を盗んでしまう姫と捨丸

23.幸い大人に見つからなかった

24.瓜を食べる姫と捨丸k「うんまいなぁ」

25.竹取りをする翁、また光る竹が、今度は姫の着物が出てくる、天が姫を高貴な暮らしをさせよと言っていると確信する

26.小金を持って都へゆくようになる翁

27.また少し大きくなった姫、赤ん坊の世話をしている、山ぶどうなどを皆で食べている

28.山でキジを見つけ捕まえようとするが勢い余って崖から落ちてしまう、キジを捕まえ捨丸も無事だった

29.崖から捨丸の元へ行こうとして落ちる姫、それを受け止める捨丸、擦り傷を自分の布で治療する姫

30.姫がこのままで大きくなってどこかに行ってしまうのではと心配する捨丸、何でそんな事いうの?と姫

31.山からキジ鍋の材料を持って帰ってきた姫に都へ行くと告げる翁と媼

32.キジ鍋の材料を置いて都へ、ナレーション「しかしその明日は姫にも捨丸にもくることはありませんでした。」

33.屋敷に到着した姫、辺りを伺いながら廊下を進む

34.正装した翁と媼、あまりの2人の変化に笑ってしまう姫

35.翁から渡された新しい服に喜ぶ姫

36.新しい屋敷にも喜び走り回る姫

37.お辞儀をしている相模につまづいて転ぶ姫、相模との出会い、相模からの教育が始まる

38.相模からの教育から逃げ出したり、巻物を流したり真面目に受けない姫

39.相模から琴の教育、翁の前ではきちんとする姫

40.琴を弾く姫、姫はやらせるとなんでもできてしまうという相模

41.離れの小屋で畑仕事や料理を作っている媼、元気のない姫、姫に初潮が来た

42.大人になった姫に大喜びの翁、宴をするというが、山の友達を呼びたいというと顔を真っ赤にして怒る

43.山の友達に会えず「つまんないな」と漏らす姫、媼から小屋の畑をもらう

44.相模が姫に化粧とお歯黒を施そうとするが激しく嫌がる姫

45.相模の元を飛び出して、猫を逃がして遊び始める姫

46.名前を付けに来た斎部秋田にお酌をする翁

47.秋田に挨拶をしに来た姫、姫のあまりの美しさに打ち震える秋田

48.秋田姫の美貌から「かぐや」という名前をつける

49.名前をもらい正装をして髪上げの儀式をする姫、宴が始まる

50.宴が盛り上がる中、虚しさを感じるかぐや姫「いないのと同じみたい」

51.三日三晩続く宴、貴族たちにかぐや姫の顔を見せろと絡まれる翁

52.「本物の高貴な姫君でもあるまいに」という言葉にショックを受け屋敷から飛び出して疾走し始めるかぐや姫

53.転げながら、ボロボロになりながら元いた山に戻ってくるかぐや姫

54.乞食で貰った芋を食べている時、捨丸がいた丘を見つけるかぐや姫、思わず駆け寄る

55.釜を処理している老人に捨丸の一家は山を出て10年は帰って来ないと告げられるかぐや姫

56.老人から木々は春の準備をしているのだと教えられる姫

57.放浪の末、雪の中に倒れてしまうかぐや姫、月の世界を思い出す、気がつくと何事もなかったかのように屋敷に戻っているかぐや姫

58.相模の化粧やお歯黒を受け入れるようになるかぐや姫

59.様々な殿方からかぐや姫へ贈り物が届くようになる、喜ぶ翁、そっけない姫

60.贈り物の一つの籠に入った雀を逃がしてやるかぐや姫

61.かぐや姫の噂が更に広まり、殿方が家に押し掛けますます贈り物や手紙が届くようになる

62.5人の貴公子たち歩きながらかぐや姫の噂をしている

63.かぐや姫が如何に美しいかを語る斎部秋田、我先と飛び出す5人の貴公子たち

64.貴公子たちがわざわざ求婚にやってきたことに喜ぶ翁と相模

65.それを聞きあった事もない相手を結婚する事に疑問を持つかぐや姫

66.一度断ろうとするが、喜ぶ翁の手前、貴公子たちに挨拶をするかぐや姫

67.かぐや姫が妻になればどんなに自分は幸せかを語る車持皇子

68.それに続く石作皇子、それぞれの貴公子たちがかぐや姫が如何に宝物であるかを語る

69.琴を弾いて貴公子たちを黙らせ、語りかけるかぐや姫

70.それぞれの貴公子たちが語った宝物を持ってきた者の妻になると言うかぐや姫

71.得難い宝を求めた事で、屋敷に来ていた殿方も水を引いたようにいなくなる、お歯黒と化粧を取ってしまうかぐや姫

72.かぐや姫の態度に相模は屋敷を去ってしまう、花見をしに牛車を出すかぐや姫

73.牛車の中から山に咲く桜を見て、美しさに驚きの声を上げる、媼と女童とかぐや姫

74.大きな桜の木の下ではしゃぎ踊るかぐや姫、その拍子に比較にいた赤ん坊にぶつかってしまう

75.赤ん坊とその母たちの姿を見て一転「帰りましょう」と帰ってしまうかぐや姫

76.牛車で帰る途中、辻での事故で牛車が止まってしまう、そこ捨丸が鶏を盗んで走ってくる

77.捨丸との再会、そのせいで捨丸は捕まりボコボコにされてしまう、捨丸の名前を呼ぶが助けないかぐや姫

78.ナレーション、捨丸との再会から3年経つ、また大人になったかぐや姫

79.機織りをするかぐや姫、迷い込んだバッタを庭に逃がして髪を結う

80.自分が育った山を庭に再現しているかぐや姫、そこへ顔を真っ赤にした翁が飛び込んでくる

81.車持皇子が蓬莱の玉の枝を持ってきたと言う、玉の枝を見せようと屋敷に入ってくる車持皇子

82.蓬莱の玉の枝を披露する車持皇子、かぐや姫に近づこうとするが、姫に経緯を問われる

83.自分がどのような旅をしたのかと身体全体で大袈裟に話す車持皇子

84.遂に蓬莱の山を見つけ苦労して玉の枝を持ってきたのだと大袈裟に語る車持皇子

85.蓬莱の玉の枝を作った職人たちが給料を払えとかぐや姫の屋敷に怒鳴り込んでくる

86.車持皇子バツが悪くなって玉の枝を持って逃げてしまう

87.次に阿部右大臣が火鼠の衣を持ってきたと屋敷を訪ねてくる

88.かぐや姫の火にくべてみてというのを渋る右大臣、笑いをこらえるかぐや姫

89.火にくべるとそのまま燃えてしまう火鼠の衣

90.顔を真っ赤にして悔しがる阿部右大臣、その頃大伴大納言は実際に船を出し龍の首の玉を取りに行っているという

91.嵐の中船に乗って進む大伴大納言雲の中に巨大な龍を見る

92.激しい嵐や波に襲われ、怯える大納言、その頃、石作皇子がかぐや姫の屋敷に来ていた

93.石作皇子、かぐや姫に一輪の蓮華の花を差し出す

94.石作皇子自分が捧げられるのは宝物ではなく真心であると語る

95.石作皇子の言葉に心が揺れるかぐや姫、尚も語り続ける皇子

96.石作皇子、かぐや姫に詰め寄るが目の前に現れたのは顔を真っ赤にした正妻、北の方、平謝りする石作皇子

97.その頃、石上中納言は燕の子安貝を取ろうと高台に登るが落下、それが元で亡くなってしまう、悲しみのあまり庭の山を壊しはじめるかぐや姫

98.みんな不幸になったのはニセモノの私のせいだと自分を責めるかぐや姫

99.かぐや姫の噂を聞いて御門が姫に興味を持つ「私の元へ参りたいと願っているに違いない!」

100.御門からのお誘いにやっと姫を幸せに出来ると大喜びの翁、がそれも断るかぐや姫

101.どうしてもというのなら死ぬとまで言うかぐや姫、しかしそれに反して益々姫に興味を持つ御門

102.屋敷にやって来た御門、部屋の隙間からかぐや姫の姿をみてあまりの美しさに驚く

103.後ろから抱きつく御門、驚くかぐや姫、そのまま御門は姫を輿に入れて連れ去ろうとする、不思議な力でそれをすり抜けるかぐや姫

104.姫の態度を見て今回はひとまず帰ると言う御門、へたり込むかぐや姫

105.かぐや姫、その一件から月夜の晩には月を仰ぎ見るようになってしまった

106.かぐや姫月へ帰らなければならなくなってしまった事を翁と媼に打ち明ける

107.自分は月から降りてきた月の人間であると明かすかぐや姫

108.御門に抱きすくめられた時、ここにはいたくないと助けを求めてしまったというかぐや姫

109.自分は一体何のために地上へ降りてきたのかを問うかぐや姫

110.自分は鳥や獣の様に生きる為にやって来たのだと思い出す、月へは帰さないと泣きながら語る翁

111.かぐや姫を守るため守りを固める翁、暗い顔の姫に媼は糸を巻きながら思い出のわらべ歌を歌ってあげる

112.こんどはかぐや姫が琴を弾き月に伝わっていた歌を歌う

113.かつて地上から帰ってきた天上人がこの歌を歌い涙を流していたという、それに憧れその罰として地上に来たと語る

114.媼、女童にいい内緒で牛車を用意するように言いつけ、牛車に乗って今一度山に向かうかぐや姫

115.帰ってきた山で自然に触れるかぐや姫、ちょうどその頃捨丸も山に帰ってきた

116.姫の気配を察知して山を駆け下りる、かぐや姫と捨丸再会

117.「捨丸兄ちゃんとなら私、幸せになれた」という姫

118.捨丸と生きている実感があれば幸せになれたという姫の言葉に思わず姫の肩を抱いてしまう捨丸

119.「俺はお前と逃げたいんだ」と言ってしまう捨丸、その言葉に笑顔で帰す姫

120.捨丸と共に走る姫、姫が跳ねるとそのまま空を飛ぶ「雨土よわたくしを受け入れて」
121.2人で野山を飛び回る

122.月を見て怯えるかぐや姫、捨丸の手から離れてそのまま海へ落ちてしまう

123.目覚める捨丸、姫とのことは夢だったのかと迎えに来た息子を抱き上げる、牛車で屋敷へ帰るかぐや姫

124.とうとう月の住人たちがかぐや姫を迎えにやってくる、弓を射るが全く歯が立たない

125.次々に眠らせられる兵たち、姫を守ろうとする翁も眠らされてしまう

126.部屋にこもって隠れていた媼と姫、媼も眠らされてしまい月の王の眼前に導かれるかぐや姫

127.子供達のわらべ歌で目を覚ます翁と媼、空を飛んでかぐや姫の前にやってくる

128.かぐや姫、翁と媼に最後のお別れをする、悩みや苦しみを汚れという月の使者「汚れてなんかいないわ!」

129.月の羽衣を纏ったことで全てを忘れ月へ帰って行くかぐや姫、

130.月へ帰ってゆくかぐや姫、それを見上げる人々

131.離れゆく地球を振り返り涙を流すかぐや姫、月に赤ん坊だった頃のかぐや姫が写る

132.エンディングテーマ「いのちの記憶」キャストロール

133.エンディング

134.エンディング

135.エンディング

136.エンディング

137.監督 高畑勲

構成について

「かぐや姫の物語」は始まりから終わりまで4つの構成に分かれています。

1.竹から生まれた姫の成長

(0~32分の約32分)

物語の主人公、かぐや姫が竹から生まれ自然や家族、仲間に囲まれながら成長してゆく様を描いています。

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2.都へ行ったかぐや姫の絶望

(33~57分の約24分)

かぐや姫の父である翁がかぐや姫を幸せにするため都へ行きますが中々馴染めず遂には絶望を体験してしまいます。

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3.数多くの殿方に求婚されるかぐや姫

(58~106分の約42分)

貴族である事を一度受け入れたかぐや姫は、その美しさから多くの貴公子に求婚されますが、断り続けます。最終的に御門にまで求婚されますがその苦しみからとうとう月へ助けを求めてしまいます。

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4.月へ帰るかぐや姫

(107~137分の約30分)

ここに来てタイムリミットが設定されます。かぐや姫は最後に捨丸と幸せに暮らせたかもしれない人生と自然を謳歌し、惜しみながらも月へ帰って行きます。

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プロットについて

お話のプロットですが月からやってきたかぐや姫が、地上での人生を体験し、そして帰って行くお話です。

日本古来のお話である「竹取物語」がこの映画の題材になっているのですが、あらすじ自体はそのままなので展開は映画を見ても驚く所はほとんどありません。

しかしその内容にはかなりオリジナルのテーマを入れ込まれています。

中編ではそのテーマを探ってゆこうと思います。

マイリトルポニーを1分ごとに区切って観てみた。後編

ネタバレしかしていません。

未見の方は、アメリカの大きなお友達を夢中にさせた深淵なる女児向けアニメ「マイリトルポニー」を是非ご覧下さい。


マイリトルポニーを1分ずつ区切って観てみた。前編 - 映画を1分ごとに区切って観てみた。

 

マイリトルポニーを1分ずつ区切って観てみた。中編 - 映画を1分ごとに区切って観てみた。

 

マイリトルポニーのファン「ブロニー」とは

マイリトルポニーの大人のファンいわゆる大きなお友達の事を本場のアメリカでは「ブロニー」と呼ぶそうです。
日本でも女児向けアニメファンを独特な呼び方、ラブライブのファンを「ラブライバー」、アイカツのファンを「アイカツおじさん」などと呼んだりします。

ちなみにYoutubeで「My Little Pony」で検索してみたところ検索結果、約 1,150,000 件

「プリキュア」では約 434,000 件

「アイカツ」では約 162,000 件でした。

単純な比較にはならないとは思いますがかなりの人気のようです。

何故こんなに人気なのか

個人的に何故マイリトルポニーがここまで人気なのかを考えてみるとやはり外観内観共に愛らしいキャラクターと、互いの個性を徹底的に肯定するテーマ性、そしてキャラ同士の関係性が重要なアニメなので二次創作に使いやすく、またDJpon3の様にファンが追加して情報を入れやすいなどが人気の一因ではないかと思います。

他にもアメリカの文化として馬が非常に身近な動物であると言う意見や登場するキャラはみんなポニーの為、後ろ姿になると必然的にお尻のアップになってしまうためが必要以上にセクシーであるからという意見もみました。

必要以上にセクシー?

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魅力はファンによってそれぞれですが、何か大きなお友達の心を捉えて離さない深淵があるのではないでしょうか。
日本でも去年の年末にコミケに参加した際にはそれはそれは大きな体格のお友達がレインボーダッシュのパーカーを着てコミケに参加していたのを見たので日本でもある一定数はいわゆるブロニーがいるのだと思われますが、未だ吹き替え版どころか字幕版のDVDでさえも発売されていない所がファンとして残念です。

ピンキーパイがすき

個人的にマイリトルポニーの主要メンバーの中で特に好きなのがピンキーパイです。
彼女はいわゆるトリックスターでしばしば物語の物理法則を無視した行動を取ります。
そのギャグの一つ一つが描写として面白いのもありますが、このようなトリックスターは物語の話の火付け役として使われる事が多いです。
と下手すればなると何の理由もなく唐突に奇抜な行動をとらせて問題を起こさせてお話をしたてあげるという事になりがちです。

なりがちの例 スターウォーズの超人気キャラクターにしてみんな大好きジャージャービンクス

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マイリトルポニーでは確かにピンキーパイは問題を起こして物語の火付け役になる時もあります。しかしそれと同等程度に彼女の奇抜さで、話が解決に向かう時もあります。
ただかわいいから、ただ役に立つから、自分のプラスになるからではなくたまには事件が起きてしまったり、たまには助けられたり、こういう描写にキャラクターに対する愛を感じます。
個性を認めるとはこういう事ではないでしょうか。

ピンキーパイのオススメの話

ピンキーパイが活躍する話で特に好きな回はシーズン3の第3話「Too Many Pinkie Pie's」です。

お話は楽しいことが大好きなピンキーパイが友達と遊ぶ約束をしますが楽しい事が大好きなので色んな約束をダブルブッキングしてしまいます。
楽しいことに参加出来ない苦しみからピンキーパイが狂います。

狂うピンキーパイ

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そこで魔法の力で自分の分身を作ればいいということになり自分を増やしますが増えすぎて自分でもどれが本物か分からなくなります。
増えすぎて街がピンキーパイだらけになる

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そこでつまらない事をさせて自制心を試しコピーを消して行くというお話です。

無残に消されるピンキーパイのコピー

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ピンキーパイが主役の話は基本的におかしな話しになるのですがこの話は特出して狂ってるし描写も狂っていて大好きです。

女児向けアニメが好きという苦悩

最近ではアニメを視聴するということはアニメ文化の発展やテレビやインターネット、パチンコなどの影響でオタクでなくても比較的アニメを観るようになってきましたが、それでも女児向けアニメのファンというのはなかなか理解されない事、請け合いです。
知り合いのオタクの方も「娘が最近プリキュアの映画を観に行きたくないと言い出して1人で観に行かなければならなくて困った」と言っていましたのでファンでいるのも中々大変な様子。
これはアメリカのブロニーたちの間でも同様であるようでファンであるがゆえに中々辛い事もあるようです。

個人的には女児向けアニメを大人が楽しむのを認めろとは言わないまでもその面白さに気付いて面白いとファン同士で交流ができるのは素晴らしいことだと思うので日本でもマイリトルポニーがもっと盛り上がってくれればと思います。


最後にニコニコ動画に上がっていた「あるブロニーの主張」という動画とその歌詞を引用


【KAITO】あるブロニーの主張(英語・意訳付き) ‐ ニコニコ動画:GINZA

俺たちがMLPにハマっているのはストーリーが面白いからであって
決してポニーがセクシーだからとかそういうのじゃないからな
俺たちは無害なブロニーさ
MLPを見てると幸せになれるんだ
見てるのは心に響くものがあるからで
ポニーにハァハァしてるワケじゃないぞ
普通に見れば魅力がわかるだろう?
子供から大人まで楽しめる
歴史に残る番組なんだから
キャラクター描写がしっかりしてる
カワイイだけじゃないぜ!
それにストーリーも逸脱だ
大人が見ても面白いぞ
じゃあ「男らしい」趣味を始めようか
友人に盗聴器を仕掛けたり
やられる前に親友を裏切ったり
お願いだ、いい加減にしてくれ
俺たちの事はほっといてくれよ
ブロニー迫害なんてナンセンスだよ
男がMLPを見たっていいじゃないか
でも連中は「男らしくない」と言って
女児向け作品だからと批判してる
そういうのを見る男をこう呼んでる
ゲイ!!!
あるいは子どもを狙うロリコンだと
もう団結するしかない
とにかく連中に分からせるしかない
偏見がなくなるまで
俺たちは戦い続けるぞ

 

マイリトルポニーを1分ごとに区切って観てみた。中編

ネタバレしかしていません。

未見の方は、アメリカの大きなお友達を夢中にさせた深淵なる女児向けアニメ「マイリトルポニー」を是非ご覧下さい。


マイリトルポニーを1分ずつ区切って観てみた。前編 - 映画を1分ごとに区切って観てみた。

 

物語の工夫

物語の構造、キャラクター、内容の工夫を見てみます。

テーマは何か?

マイリトルポニーは1話以降、主人公のトワイライトが友達についてのレポートを書くという目的のためにポニービルで暮らすことになります。
そこから様々な問題が各話で語られる訳ですが、この軸がしっかりしているので中々ブレません、更にこのマイリトルポニーの「友情」の捉え方は他の作品と比べて非常に特徴的であると思います。それは「個性」に重きを置いている点です。
マイリトルポニーに登場するメインキャラクター、トワイライト、アップルジャック、レインボーダッシュ、ラリティ、フラッターシャイ、ピンキーパイの6人(匹?)はとても強い個性を与えられていますが、何か絡むと必ず問題が起きてしまいます。

第1話を例にすれば、主人公のトワイライトはそれぞれのメンバーに初めて出会った時、アップルジャックには家族の食事に強制的に参加させられるし、ガサツなレインボーダッシュにはたてがみをボロボロにされてしまうし、ラリティには着せ替え人形にされてしまうし、フラッターシャイはドラゴンに夢中でコミュニケーションが取れないし、ピンキーパイの開いたパーティーのせいで夜寝られません。

1話ではそんな仲間のことを「クレイジー!」と言ってしまうトワイライト

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しかし、第2話になると今度はクレイジーな仲間の個性に数々のピンチを救われます。

物語では内的葛藤も話の推進力にして面白い話を作る訳ですが、マイリトルポニーではこの個性は長所と短所表裏一体の物と捉え、個性から発生した問題でも結論として個性を否定したりと言った解決方法を一切取りません。
お互いが個性を尊重しあい、また譲り合う事でバランスを取って行くことがこの物語の成長として提示されています。

面白いのが個性が否定されるとこの物語ではどういう事が起きるかも明示されています。

勤勉で真面目なトワイライト、女王セレスティアからの宿題がどうしても書けない!

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パーティーが大好きなピンキーパイ、でもみんなが自分の誕生パーティーに来てくれない!

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この様に彼女たちは個性が脅かされると狂います。いかに個性が大事かが明示されています。

敵は何か?

マイリトルポニーには時折彼女たちの平和を掻き乱す敵が現れます。
1話と2話に登場したナイトメアムーンやポニー達を擬人化した(擬人化した馬の擬人化!)物語のエクエストリアガールズではセレスティアの元弟子のサンセット・シマーが敵になりました。

服装も性格も境遇もトワイライトと対になっている敵、サンセット・シマー

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敵になった彼女たちが脅かす物はいつも友情や人間関係です。
そこも彼女たちはそれぞれの個性によって人間関係や友情を深めます。敵が決まって友情を脅かし、決まって友情をや個性を使って切り抜ける。かなり分かりやすく敵を使っています。

日本ではこのフォーマットは何に似ているか?

マイリトルポニーのシリーズとしての物語として日本の作品として似ているのはスーパー戦隊シリーズやプリキュアシリーズがとてもよく
似ています。

人数が増えて久しいプリキュア

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各話でメンバー1人をピックアップして物語を作って行く点やチームとしての人間関係にフォーカスを当てた物語の作り方をしている点、色で個性を分けて子供でも分かりやすく個性を把握出来るようにしてある点など外観的にも内観的にも類似点は数多いです。
逆に違う点はマイリトルポニーは第1話と第2話の時点で巨大な敵となるナイトメアムーンが倒されて改心してしまう点です。
戦隊シリーズやプリキュアではこうした巨大な敵は物語の中核として残して残しておきます。
これはマイリトルポニーは物語の中核がより内的葛藤(友人関係や自身の内面の問題)を重視していて、スーパー戦隊シリーズやプリキュアは最終的な葛藤は外的葛藤(外からやってくる敵や事件)を重視しているのだと見えます。

同じ女児向けアニメなのにプリキュアは外的葛藤、つまり敵と戦う事が1年を通しての問題になっているのも日本のアニメの面白い点でもあります。

キャラクター設定について

先ほどはいかにマイリトルポニーのキャラクター達が個性豊かであるかを書きましたが、意外とメインの6人たちとその他の助演となるキャラクターや脇役や敵役は、内面はかなりシンプルです。
その最たるのがプリンセスセレスティアですが、彼女は外見も特徴的で出番も多い、役割も国の女王と重要な部分を担っているのに内面が殆どありません。
具体的には1話の時点で大切なハズの妹を1000年間も封印してしまいますし、1000年のいざこざがあったハズなのに和解を軽く申し出すなど軽薄さが目立ちます。
更に国の女王として1番強い力を知恵を持っていいるハズなのに問題解決の貢献度は低いです。
これはセレスティア自身の性格が悪いとか、能力がないなどの問題ではなく単純に内面の描きこみがないのです。
逆に内面があると物語を動かし辛くなると判断されているのでしょう。
出番も役割もあるキャラクターとしては大胆な思い切りです。

個性がなく月送りやバナナ好きなどがキャラ付けとしてファンにされてしまうセレスティア

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敵役のナイトメアムーンにしてもエレメント・オブ・ハーモニーを食らった後は浄化でもされたのか急に寂しかったと本音をいい1000年のいざこざを水に流しています。
これはキャラクターの重要度をハッキリ分けているように思えます。

いい効果もある

しかしながらこれが良い効果を呼んでいる所もあります。
例えば、モブキャラクターでファンに人気のDJpon3やオクタヴァなどです。
彼女達は特徴的な外見にもかかわらず内面が殆どゼロです。名前すらありません。

ファンに人気のモブキャラクターDJpon3とオクタヴァ

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しかしそのデザインや表情などの表現の豊かさからか、ファンの間で人気になり名前が付けられ性格が考えられ、と人気キャラクターになっています。
内面がゼロだからこそファンの想像力を想起させる非常に貴重なキャラクターになりました。

その人気もあってエクエストリアの続編ではトワイライトのピンチを救う役割を演じたDJpon3

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この様にマイリトルポニーにはよく動く表情や魅力的な外見に加えテーマや話作りの軸などしっかりとした作り込みがしているのが見て取れます。

 

後半はファンとして考えるマイリトルポニーを書いていきたいと思います。

 

マイリトルポニーを1分ごとに区切って観てみた。前編

ネタバレしかしていません。

未見の方は、アメリカの大きなお友達を夢中にさせた深淵なる女児向けアニメ「マイリトルポニー」を是非ご覧下さい。


マイリトルポニー~トモダチは魔法~ 第1話「ようこそポニービルへ」 ‐ ニコニコ動画:GINZA

 

マイリトルポニー~トモダチは魔法~ 第2話「トモダチは魔法」 ‐ ニコニコ動画:GINZA

ミニッツライナー

※英語版を区切ってありますので日本語版と若干のズレがあります。 

第1話

0.ナレーション、世界設定の説明「昔々魔法の国のエクストリアに…」
1.ナイトメアムーンと女王セレスティアの決別、ナイトメアムーン月送り
2.その昔話を絵本で読む主人公トワイライトオープニング開始
3.友達作りが苦手なトワイライト、伝説の魔法について本でしらべている
4.1000年後の現在ナイトメアムーンが復活することを知る
5.ナイトメアムーンの復活を知らせるため、セレスティアに手紙を送る
6.セレスティアからの返信、信用されない、感謝祭の監査役としてポニービルへ向かう事に
7.ポニービルへ到着、ピンキーパイとの対面、がすぐ逃げてしまう
8.アップルジャックとの出会い、元気さに翻弄される
9.アップルジャックに家族を紹介される、そのまま押し切られて一緒に食事をとるハメに
10.レインボーダッシュとの出会い、あまりのガサツさに呆れる
11.レインボーダッシュ、エリートペガサス部隊のワンダーボルトに入隊する夢を語り、実力を見せつける
12.ラリティとの出会い、飾り付けに夢中
13.トワイライトの身なりを整える、トワイライトが都会育ちと知るや態度が変わって仲良くなろうとする
14.フラッターシャイとの出会い、小鳥の歌の練習の指揮をしている
15.フラッターシャイ、トワイライトに挨拶ができない、連れのドラゴンのスパイクを見つけて大興奮
16.ポニービルの家に到着、フラッターシャイが離れてくれない
17.16分30秒でCMピンキーパイとの再開、トワイライトのサプライズパーティーをする為先回りして待っていた
18.喋りまくるピンキーパイ、サプライズパーティーがあまり嬉しくないトワイライト
19.ポニービルの住人たちが朝までパーティーをしているせいで眠れないトワイライト
20.感謝祭当日、セレモニーが始まる
21.女王セレスティアが降臨しない、と思いきや月に封印されていたナイトメアムーンが復活
22.ナイトメアムーンの自己紹介、力を見せつけてポニーたちをビビらせる
23.ナイトメアムーンにより永遠の夜が来ることを宣言、次回へ、エンディングテーマ

第2話

0.前回のあらすじ、ナイトメアムーン復活の兆し、トワイライトに友達を作るように指令、ナイトメアムーンの復活
1.オープニング
2.復活したナイトメアムーンの止め方を本で調べるトワイライト、この事件の事情を聞きにやってくるメイン5匹
3.本によると伝説の魔法エレメントオブハーモニーが森の奥の古城にあるという、早速エバーフリーフォレストへ向かう一同
4.森を進む一同、脅かしをかけてふざけるレインボーダッシュ、直後足場が崩れ飛べないメンバーは落ちてしまう
5.アップルジャック、崖から落ちかけるトワイライトを救うが敢えて手を離し落とす事で飛べるレインボーダッシュにキャッチさせる
6.あばれるマンティコア登場、戦いを挑もうとする一同、がフラッターシャイに止められる
7.マンティコアにトゲが刺さっている事を見抜きおとなしくさせるフラッターシャイ
8.7分30秒でCM、森を進む一同、魔法により木がなんだか化け物らに見えてくる、ピンキーパイが歌を歌い始める
9.歌によって恐怖を笑い飛ばしてしまう一同

10.川で自慢のヒゲが切れてしまい嘆くドラゴンと出会う
11.自分のしっぽの毛をヒゲの代わりにドラゴンに与えるラリティ.
12.古城へと続く崖に到着、壊れてしまっている橋を直そうとするレインボーダッシュ
13.今の仲間を裏切ればナイトメアムーンの飛行隊に入れてやると選択を迫られるレインボーダッシュ、夢より仲間を選ぶ
14.古城に到着、伝説の魔法の石を発見、石に魔法をかけて発動を試みるトワイライト
15.ナイトメアムーン登場、エレメントの石が奪われる、攻撃を仕掛けようとするトワイライト
16.エレメントの石が破壊されてしまう、最大ピンチ、トワイライトのピンチに仲間が駆けつける
17.エレメントに示された要素を語るトワイライト、そして6つ目のエレメントの正体に気付く
18.6つ目のエレメント「友情」が現れる、「エレメント・オブ・ハーモニー」発動、虹に包まれるナイトメアムーン
19.エレメント・オブハーモニーの宝石がトワイライトたちそれぞれの体に宿る、太陽と女王セレスティアの復活
20.ナイトメアムーンはセレスティアの妹プリンセス・ルナであったことが語られ、ルナとセレスティアの和解、パーティーを開く
21.セレスティア、トワイライトに友情について調べる為にポニービルへ派遣を言い渡す、喜んで受けるトワイライト
22.エンディング

構成について

第1話と第2話の構成について説明します。

第1話の構成

1話の構成は4つに分けられます。
掴みの世界の前提となる説明が約3分でナレーションで伝えられその後は始めと終わりが短く、中が長いという基本的な娯楽作品の構成を取っています。

1.世界設定の説明

(0~3分の約3分)
冒頭、主人公が読んでいる本の内容のナレーションを通して1、2話のベースになっている世界設定が語られオープニングが始まります。

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2.友達作りが苦手な主人公、指令を受けポニービルへ

(0~6分の約3分)
勉強が好きで友達作りが苦手なトワイライトが師匠であり女王でもあるセレスティアから指令を受けてポニービルへ向かいます。

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3.ポニービルへ到着、仲間との出会い

(6分~20分の約14分)
ポニービルへ到着、ここでメインとなるキャラクター、ピンキーパイ、アップルジャック、レインボーダッシュ、ラリティ、フラッターシャイと出会いトワイライトはその個性に翻弄されます。

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4.ナイトメアムーンの復活、次回へ

(20分~23分の約3分)
冒頭で語られていた敵役のナイトメアムーンが復活して一転ピンチに、そこから次回に引っ張ります。

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第2話の構成

2話は5つの構成で成り立っていますが、始めと終わりに前回のあらすじといよいよシリーズが始まる次回への送り出しに短い時間を使っている以外は1話と殆ど構成が変わりません。1話の時点から2話完結の話で引っ張り、この世界のプリンセスの妹という巨大な敵が現れるあたり出し惜しみのなさが見受けられます。

1.前回までのあらすじ

(0~1分の約1分)
ここがどういう世界で、主人公がどんな課題を抱えていて、どんな敵(問題)が発生したのかの説明がなされます。

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2.最強の魔法エレメント・オブ・ハーモニー

(2分~4分の約2分)
敵であるナイトメアムーンを倒すため、本を漁るトワイライトが伝説の魔法を発見して、そのために仲間と共に古城を目指します。

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3.様々な妨害を個性を武器に突破

(4分~14分の約10分)
トワイライト以外のメインのキャラクターそれぞれの特性を活かしてナイトメアムーンの様々な妨害を突破してゆきます。それが各キャラクターの紹介にもなっています。

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4.ナイトメアムーンとの戦い、エレメント・オブ・ハーモニーの発動

(14分~20分の約6分)
前の段落の経験を通してトワイライトが最後のエレメントが「友情」であることに気付き、ナイトメアムーンを倒します。

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5.戦いの終わり、トワイライト、ポニービルへやって来て次回へ

(20分~22分の約2分)
平和が戻って来たあとの打ち上げをして、これからのメインの問題になる友達についてのレポートを書くという目的に繋げ、次週へ続きます。

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プロットについて

1話と2話の「マイリトルポニー」のプロットは友達付き合いが苦手な主人公トワイライトがナイトメアムーンの復活を受けて様々な試練を仲間と突破して友情の魔法で改心させる話です。
そこから友情についてのレポートを書くためポニービルで暮らし、そこからの友情をめぐる物語が話の基本になって行きます。

この物語で目に付くのは非常に個性を重視している点です。
それぞれの個性が1話ではトワイライトを翻弄し、2話ではトワイライトを救います。
このテーマ性について中編で書き、後半では海外の大きなお友達を魅了する「マイリトルポニー」の魅力について書いてゆきます。

「風立ちぬ」を1分ごとに区切って観てみた。後編

ネタバレしかしていません。

未見の方は、日本を代表するアニメーション作家宮崎駿の長編映画引退作を

是非是非ご覧下さい。


「風立ちぬ」を1分ごとに区切って観てみた。前編 - 映画を1分ごとに区切って観てみた。

個人的な感想と見どころ

個人的に心に残ったところや、好きなシーンを紹介します。

冒頭の夢

この映画でお気に入りのシーンは冒頭の約4分、少年の二郎が夢の中で理想の飛行機に乗って空を飛ぶところです。
その中では彼は自由自在に飛行機を操り、女の子にもモテモテで、敵が出てきたら勇ましく戦いを挑みます。
しかしいざスピードをあげようとレンズを目にかけると現実のメガネがググッと顔にへばり付きます。
彼は夢でさえ飛行機の操縦士にはなれないとわかってしまっている

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目覚めた時の悲しそうな顔がなんとも言えません。

実は自分もたまにプールで自由自在に泳ぐ夢を見るのですが、必ずターンするところで自分がカナヅチであることを思い出して沈んでしまいます。

ほとんど狂人、堀越二郎

二郎の行動で一番好きなシーンは秘密警察から隠れている最中に電報で二郎の元に菜穂子が喀血で倒れたと知らせが届くところです。
ここで二郎は涙を流しながら黒川宅を飛び出します。
が、その移動中なんと二郎は仕事をしているのです。泣きながら。
こんな時に仕事してんじゃねーよ!だが、気持ちはすごくよく分かる

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ここまで来るともう狂気なのですが、白状してしまうと自分もこういうところがあります。
男性にはこの気持ち分かる方が多いのではないのでしょうか。
ちなみに女性にここの二郎にすごく共感すると言ったら引かれたので公言するのはオススメ出来ません。

薄幸の肉食系女子、菜穂子

先ほどは二郎の人間的な点を挙げましたが、実は二郎の妻、菜穂子の好きなところは二郎に対するアプローチです。
初め菜穂子とお絹に出会った時実はお絹の方に気があります。
それは、学校にシャツが届けられた時、お絹をイメージして学校を飛び出す所からもわかります。

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そして2人は再会するわけですが、菜穂子は頭のいい女性らしいので二郎がお絹に気があることを気がついています。

その証拠に相合傘をしてチャンスと見て、二郎が好きであろうお絹がすでに結婚して子供が2人いてもう望み薄であることを伝えまくります。

「お絹に教えてあげなきゃ、あの人この前2人目の赤ちゃんを産んだんですよ、とてもかわいい赤ちゃん」

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雨が上がり、虹を見たあと速攻で親に紹介

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この流れる様な間の詰め方素晴らしい。

他にも

レストランで1人で食事を取る二郎を見つけ目がキラリと輝く

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病院から無断で手ぶらで飛び出して「私すぐ帰ろうと思ったの」と言い、二郎の「帰らないで」の言葉にニヤリとする菜穂子

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菜穂子はこの努力の結果、二郎を捕食結婚するのです。

二郎ゲットだぜ。やったね菜穂子。

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物語としてはそれだけ菜穂子は余命が少ない事に焦っていたのでしょう。そこに二郎という理想の男性を見つけた訳ですからそりゃあらゆる手を尽くします。

 二人の愛

この二人の愛ですが、二郎は黒川さんに「君のはエゴなんじゃないのかね」と言われた通り、間違いなくエゴであります。
妹が再三言う通り、菜穂子は山で療養すべきだし、本当に菜穂子と長い時間を過ごすのなか二郎も仕事の時間を少し考えるべきでしょう。
そこを「覚悟は出来ています。」
と突っぱねるあたり最早、間違っていてもなにも言うことはない、この状態は現実でもこの様な選択と結果は往々にしてあると思うのです。

伝染する病気なのに離れない女とその隣でブカブカタバコを吸う男

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もうここまで来ると二人が決めた事を誰が文句を言えるんだろうか?

 おわりに

この映画が公開された時、周りの映画好きの友達とこぞってこの映画語り合いました。
自分はこう見えた、ここの解釈はこうだろうと言い合うその体験は映画を観ている時よりも楽しく有意義な時間でした。
僕はそんな時間こそが映画そのものの深いテーマや優れた映像技術と同様に価値のあるものであると思っています。
今回、風立ちぬテレビ初公開という事なのでより多くの人があーだこーだ、あそこはこうだここはあーだと、この映画をみて楽しい時間を過ごして欲しいです。

 

個人的に好きなシーンを紹介しましたが、いかがだったでしょうか?

コメントやTwitterなどでご感想頂けると嬉しいです。

 

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「風立ちぬ」を1分ごとに区切って観てみた。中編

ネタバレしかしていません。

未見の方は、日本を代表するアニメーション作家宮崎駿の長編映画引退作を

是非是非ご覧下さい。


「風立ちぬ」を1分ごとに区切って観てみた。前編 - 映画を1分ごとに区切って観てみた。

物語としての工夫

物語の構造、キャラクター、内容の工夫を見てみます。

まず風立ちぬは娯楽映画か?

前回の記事では、宮崎駿初監督作品「ルパン三世カリオストロの城」の時間と構成を見てみました。


ルパン三世カリオストロの城を1分ごとに区切ってみた。前編 - 映画を1分ごとに区切って観てみた。

そこから「カリオストロの城」と、今回の「風立ちぬ」との構成の比較をして見てみます。


「カリオストロの城」の構成は4つ

1.掴みの短い部分が4分
2.物語が映画本来の目的にたどり着くまでが21分
3.主人公が順調に活躍して一転ピンチになるまでが41分
4.目的を達成してめでたしめでたしとなるのが34分

この上なく基本に忠実な三幕構成で出来ています。以下引用。

三幕構成は、脚本の構成である。三幕構成では、ストーリーは3つの幕 (部分) に分かれる。それぞれの幕は設定、対立、解決 の役割を持つ。3つの幕の比は1:2:1である。

 つまり「カリオストロの城」は非常に娯楽映画のお手本的な手段をとっているのです。

これに対して「風立ちぬ」はどうでしょうか?
「風立ちぬ」の構成は8つ(前編より抜粋)

1少年二郎の夢と動機:13分
2.学生二郎、震災と菜穂子との初対面:17分
3.三菱重工業に就職:15分
4.ドイツへ研修旅行:14分
5.帰国、そして挫折:6分
6.魔の山へ、菜穂子との再開:11分
7.菜穂子との結婚:27分
8.零戦完成、夢の果て:13分

大体各パート約15分をベースにしながら話が進み、その中で大胆に削ったり加えたりをしています。
これは非常に作家性の強く、娯楽的要素よりも内面やテーマなどに重きを置いた構成であると思われます。
実際「風立ちぬ」では戦闘シーンやアクションシーンは目配せ程度でほとんど出てきません。
主人公の二郎についても「カリオストロの城」のルパン三世に比べてみると明白な様に、表情が控え目で一定な上、自分の感情や冗談などほとんと喋りません。
つまり娯楽映画的な共感を生む人気者のキャラクターでないのです。

何かと机に向かって書物をしているコイツが主人公

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このことから痛快なジブリ映画を期待していた観客の方は映画館で肩透かしを食らった方も多かったのではないかと予想できます。

二郎の夢

二郎は冒頭を含め度々、夢の世界に行きます。
例えば冒頭、少年二郎君は自分の目が悪く飛行機の操縦士になれない事に悩んでいます。
そこで夢の世界に飛んでカプローニの壮大な飛行機に触れて設計家になることを決意します。
このようにこの映画では何か葛藤があったり物語に閉塞感が出てくると夢の世界に飛んで夢の素晴らしい世界の美しい映像で閉塞感を吹き飛ばし鬱屈とならないような手法を取っています。

うまいのはこの手法が二郎の妄想しがちな性格、そして結末と、とてもよく合っているところです。
この夢の描写があるおかげでなぜ二郎が夢をあきらめないのか、ここまで努力してまたこだわるのか、何故二郎がエンジニア仲間に人気があるのかがとてもよく描かれています。

二郎の夢は他人にビジョンを見せる

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更にこの閉塞感を夢で吹き飛ばし突き進んだ結果、二郎はこの世の地獄を体験するのですが、それもまたカプローニと酒を飲みに行くという懲りなさ、ある種の力強さがまた味わい深いです。

未来の暗示

面白いのは二郎は知っていて突き進んだという描写が度々表現されます。

子供の頃から二郎は空を飛ぶ乗り物が兵器を運んでくるものだと知っている

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地震の火事の火の粉で空襲の幻を見る

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知らなかったではなく知っていて突き進んだ結果である事が二郎の夢に対するエゴイスティックな部分がより濃く表すことが出来ています。

二郎の性格設定

二郎はエゴイスティックであると書きました。
二郎は基本的には真面目で、礼儀正しく困っている人を見過ごせない性格です。
しかし同時に欲望に忠実、女好き、妄想にすぐ入る、興味のない事にはとことん興味がないという性格設定も同時になされています。
例えば、
人助けをするところですが少年時代の下級生のいじめを止める所以外、電車で席を譲るのも、震災でお絹を助けるのも、子供にシベリアをあげようとするのも全て若い女性が関わってきます。

若い女性に席を譲る二郎

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三菱重工に就職した際、目配せをするのは若い女性社員と置いてある飛行機

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このような描写が何度も何度も出てくるので確実に意図的でしょう。

付け加えて美学の分からない海軍の偉いおっさんたちの話も全く聞いていません。
しかしこれらの要素のお陰でおかげで二郎は女性に紳士的であるし、仕事や夢に集中して取り組むことができます。

この人間としての長所と短所を同時に描く事で非常に人間的なキャラクターを描く事成功していると感じます。

キャラクターの配置の意味

先ほどの未来の暗示と二郎の性格設定で重要な役割を担っているのがカストルプと妹の佳代です。

まずカストルプですが、彼は劇中「ここは忘れるにはいい所です。チャイナと戦争している、忘れる。満州国作った、忘れる。国際連盟抜けた、忘れる。世界を敵にする、忘れる。日本ハレツする。ドイツもハレツする。」

このセリフは日本やドイツの未来と同時に二郎自身への警告にもなっています。

カストルプのキャラクターとしての配置の意味ははこのハレツのセリフを言うことにあありますが、うまいのはカストルプが警告するのは菜穂子と交際して結核であることを告白されるする少し前、零戦が完成する前段落です。

カストルプの存在そのものが二郎の未来を暗示している

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次に妹の佳代ですが彼女は二郎の元に3回妹が現れますが、全て妹との約束を忘れています。

妹にまっったく興味がないのです。

忘れられてポツンな妹

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彼女は面と向かって「にぃにぃは薄情者です!」

と正論を言い続けるキャラクターです。

結婚後に菜穂子を山に帰すように最後の問いかけをしますが、正論に興味のない二郎はやはり佳代の言葉を退けてしまいます。

このようにキャラクターの役割を見ても何度も二郎はこのまま突き進んでいいのか?と問われている訳です。

 これがラストの悲劇を呼びますが、それも含めて非常に人間らしいと言えます。

人物はみんないい奴

この物語は人間関係の葛藤が全くありません。
基本的にみんないい人たちです。
新人シゴきをしていた黒川さんも二郎や結核の菜穂子を離れに止めて結婚の仲人までしてくれるし、上司の服部課長も二郎の能力を高く買ってくれるし、ライバルの本庄もナイスガイです。
これは意図的に人間関係の葛藤を省いて、二郎が真に葛藤すべき所にフォーカスを絞ったのだと解釈できます。

入社時、二郎にウインクする本庄、ウホッいい男

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こんなにいい環境、いい人間たちの元で描かれるのが悲劇という映画も中々ありません。

夢を追い続けた末にたどり着いたコントロール不能な大きく不条理な問題だからこそ、それでも「生きねば」と言える。だからこそメッセージが栄えるのです。

 

後編は「風立ちぬ」の中で個人的なオススメのシーンを書いていきます。

 


「風立ちぬ」を1分ごとに区切って観てみた。後編 - 映画を1分ごとに区切って観てみた。

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